私は精神科に勤務する看護師です。今、統合失調症患者の当事者のための心理教育を実施しています。テキストは全家連のものを使用しています。講義のなかで、臨床心理士による再発の予防の講義が難しいようで、なかなか盛り上がりません。患者様からの発言が少ないのと、スタッフの技術が未熟なのと、講義者の話し方がうまくないためだと思います。講義者はダムの絵も下手だし、かといって講義の内容を変えるつもりもないみたいです。私としては患者様が分かりやすければいいのですが、患者様の反応もたいして良くありません。皆さんの病院では再発の予防としてどのような講義をされているのでしょうか?こうしたら盛り上がったとかいうお話を聞かせてください。また、併せて、そのような心理教育に参加された患者様の予後を知る良い方法や、役に立っているのか・役に立っていないならどこがだめなのか、それらを知るための良い方法がありましたら教えてください。よろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
前回、長い文書になったので省いていた面、やっぱり分かりにくかったようなので追加して説明します。
「心理教育」の学会はまだ設立されていませんが、きっとその前身と考えていいと思われる団体が「心理教育家族教室ネットワーク」という団体です。これは患者本人への心理教育、家族への心理教育を行っているスタッフ、受けている当事者のための集まりです。また、統合失調症ばかりではなく痴呆、引きこもりなども広く扱っています。年に2回程大きな研修会を開いています。
ABCは「ABCサイコエデュケーション プログラム」または、「ABC's of Skill's Training」と呼ばれています。僕の病院は「医療法人 精華園 海辺の杜ホスピタル」から資料を買いました。以前は、ABCプログラムだけで独立した研修会を行っていましたが、昨年から心理教育家族教室ネットワークに入ったようです。詳しくは分かりませんので、精華園に訪ねて見てください。
ABCがどんなものなのかというのは説明できませんが、「病気」、「薬」、「感情障害」などのプログラムがあり、その手続きがマニュアルというよりも台本(つまりセリフが細かく載っているわけです)として作ってあるのが一番の特徴だと思います。弱点としては、10年以上前のものなので、内容を現在に合うように少し変えないといけない部分があります。だけど、必ず役に立つと思いますよ。富山市民病院の人がデイケアで実施していることをネットで発表していますので、ネットで探してみてください。すぐに見つかりますよ。
また、上記の団体とは関係なしに、時々、県の精神保健福祉センターで研修会を実施することがありますので、地元のセンターに電話かメールで確認してみて下さい。僕の県では「パレアモア」のHPに研修会の案内が出ています。他の県も同じような状況だと思いますので確認してみてください。
そして、「さざ波効果」は池に小石を落とすと小さな波紋が広がりますが、小さな波紋でも必ず向こう岸に届きます。その小さな波動が、その波動を受けた人に小さいけども確実な変化を作っていく、という効果のあり方です。大きな変化を一気に強く求めるよりも、小さな変化を積み重ねることが大事だということです。「さざ波効果」自体は、ブリーフセラピーや家族療法で使われている言葉です。「太陽と北風方式」は童謡そのもの意味で、「欠点」を指摘し続けるよりも「良かった点」を何よりもまず伝えるということです。良かった点を探すのは、SSTの特許ではなく、このような場面でもしっかり使えます。先に努力を認めていることを十分伝えてから、「○○のような患者様の言葉を引き出したいと思うんだけどどんな工夫が必要なのかな?アイデアが何かないですか?」などと話ができればいいですけどね。もしかしたら、すでにやっているのかもしれませんが、たぶん心理士さんが安心して話を聞けるまで十分に心が和んでなくて、「欠点」を伝えるのが単純に早かったのかもしれませんね。きつい言葉を「(ほどほどに良い)関係性」というオブラートに包めるかどうかが大事なところだと思います。
ブリーフセラピー、家族療法で使われている言葉を「心理教育のポリシー」と言ってしまったのは言い過ぎでした。ただ、日本で家族教室を行っている新潟大の後藤先生、国府台病院の伊藤先生がブリーフセラピー、家族療法に精通しているので、心理教育を行っていく背景にそれらの考え方、言い回し、技法がよく取り入れられています。はっきりとそう書かれてはいませんが、先生達の論文、著書、対談などを読むとそれが分かります。気が向いたら、ブリーフセラピー、システムズアプローチの本を読まれるといいですよ。必ず看護にも役に立ちます。ただし、厚い本よりも薄い本の方がいいです。そういえば、最近、白井幸子先生が出した「 臨床に生かす心理療法 医学書院 版 2,310円(税込)」はお勧めです。そういう心理療法の考え方、技法が簡単に分かりやすく説明してあります。入門書としていいと思いますよ。他に、武井麻子先生が出されている集団精神療法についての本もお薦めです。
最後に、「病気への対応」は大切なテーマなので、自分の説明がどう見られているのかということは、当然強く意識しています。僕自身、その緊張度は6年近くなった今でも続いています。そのため、僕も例外ではありませんが、そういうストレス状況では程度はいろいろあっても、被害的な気持ちなって、普段はそうでもない言葉でも強く傷ついてしまうことがあるものです。また、その病院で心理の人がどういう立場にいるのかは分かりませんが、もしかしたら「心理の人だからできて当然」と見られすぎていることがないでしょうか?それを感じると、さらに緊張は高まります。まぁ、仕事だからそんなこと言っている暇はないでしょ、ということもありますが、急がば回れでお願いします。特に言い訳をするならば、心理にはもともと個人療法(1対1の面接)指向の人が多いので、集団を扱うのは苦手な人が多いと思います。そのため、慣れるのに結構時間が必要な人もいると思います(その人がそうなのかどうかは分かりませんが)。その点も含めて、見守ってあげてください。
今回も長くなり申し訳ありません。
参考URL:http://square.umin.ac.jp/jnpf/npf.htm http://www.umibeno-mori.com/ http://ww1.enjoy.ne.jp/~mh-hiroshima/
本当に詳しく教えていただいて有難うございました。私達も教室の盛り上がりばかり意識しすぎてたのかもしれません。先日の教室のスタッフミーティングで心理の方が「参加する患者さんの数が少ないから教室が盛り上がらないんだ」と言い訳じみたことをいってました。教えていただいたことを参考にこれからも頑張ります。
No.3
- 回答日時:
前回の回答でURLの書き方が悪かったので、修正します。
精華園 http://www.umibeno-mori.com/
心理教育家族教室ネットワーク
http://square.umin.ac.jp/jnpf/npf.htm
パレアモア http://ww1.enjoy.ne.jp/~mh-hiroshima/
富山市民病院のABCについての発表
富山市民病院研究業績集24(平成13年度)
http://www.tch.toyama.toyama.jp/main/gyoseki/h13 …
No.1
- 回答日時:
僕は単科の精神科で働く心理士です(臨床心理士ではありません)。
僕の担当は家族教室ですが、同じ心理教育をやっているということで、少し?たくさん?書かせてもらいます。心理教育を行う側としては「質問が活発に出る」、「1回で理解して欲しい」、「体験をしっかり共有して欲しい」という気持ちを持ちます。これは、自然な気持ちだと思います。しかし、この気持ちは「そうなればいいな~」、「できたらそうなって欲しいな~」と思う程度にとどめていて欲しいと思います。分かっているのだとは思いますが、「盛り上がること」を求め過ぎていると、静かに、ささやかに進んでいるプロセスを見落としてしまうことになるかもしれません。また、「グループはこうではなくてはならない」と思いすぎて、目の前のグループを不必要に否定しすぎることがあると思います。盛り上がっているグループも、盛り上がらないグループも同じように受けとめられる方が、グループの参加者にとっては安心できるかもしれません。
で、「心理の人が自分のやり方を変えようとはしない」という言葉がありますが、よくは分かりませんが、その人も「盛り上がらない」ことに心を痛めているけども、それを認める勇気がないのかもしれません(断定してはいけませんが)。被害的になると、かえって身を固くしてしまうものですよね(それとも、単に頑固なだけ?)。ここは、心理教育のポリシー?である「他人は変えられないけども、自分は変えることができる」、「さざ波効果(急がば回れ方式)をねらう」、あるいは「太陽と北風方式」をグループスタッフに対しても使われることをお勧めします。
患者様本人に対しての心理教育は、患者様が初発なのか、それとも発病して時間がかなりたっているのか(罹病期間が数年未満なのか数十年の人なのか)、急性期、消耗期、慢性期のどこに位置するのか、病気の受容(障害受容)はどの程度できているのか、あるいは全くできていないのか、知的なレベル、などでかなり違った雰囲気になるのではないかと思います。そして、レベルが統制されたグループであれば(それなりの難しさはあっても)やりやすいし、レベルがバラバラな人たちが集まったグループはやりにくい面が多いです。そちらの病院のグループはどのような患者様が集まっているのでしょうか?
僕の病院では、情報提供に重きを置く「ガイダンス」とトレーニング、ビデオ学習に重きをおいたモジュールを使った「SST」の二本柱を急性期病棟に入院している患者様に対して行っています。
後は、病院全体の雰囲気がどうなっているのか?ということでしょうか?普段からスタッフ同士で思ったことを気楽に、素直に言い合えるのかどうか、あるいはユーモアに溢れる会話がスタッフ同士、スタッフと患者様の間であるかないかというところは、グループを支える土台として大切かなと思います。
心理教育の効果を測るものとしては、グループに参加した前後で服薬に対する意識の変化、病識に対する変化があるかどうかが、判断しやすいと思います。薬剤師さんに聞けば、服薬に対するコンプライアンスの質問紙をみつけてくれると思います。病識評価尺度については、Drが知っていると思います。
長くなりましたが、最後に4つ。「心理教育家族教室ネットワーク」の研修会に参加されることと、他の病院で行っているのを見学すること、「ABC心理教育」も参考にすること、をお勧めします。また、9月に埼玉県である心理臨床学会で、同僚が「急性期治療病棟における統合失調症患者への心理教育プログラム」というテーマで発表しますので、よかったら心理の人に勧めておいてください。
この回答への補足
丁寧なアドバイス有難うございました。お返事が遅くなってごめんなさい。さてアドバイスの中にあった、心理教育のポリシー「さざ波効果をねらう」「太陽と北風方式」って何ですか?スタッフ同士で素直に思った感想を言い合ったら、心理士さんが少し立腹されたので教えて下さい。私達は、急性期の患者様を対象に心理教育を行っていますが罹病期間も初発の方あり、数年経っている方あり、知的レベルもバラバラのグループですから、まだ経験の未熟な私達は、グループが盛り上がることにこだわりすぎていたのかもしれませんね。それから「ABC心理教育」「心理教育家族教室ネットワーク」についても教えて下さい。
補足日時:2004/08/07 09:23お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
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