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古代の皇族や豪族の娘や、奥さんの名前として

・○○皇女
・○○王
・○○媛
・○○姫(媛と同意?)
・○○娘
・○○刀自
・○○女

と、名前の最後の部分が違うのですが、
これは何が違いになっているんでしょうか。
『皇女』や『王』は身分だと推測はできるのですが、
他の場合も同じく身分でわけられてるのでしょうか?
出来れば、詳細も教えていただけますか?
宜しくお願いします。

A 回答 (3件)

 


よく分からないと言いますか、詳細を知らないのですが、あるいは、歴史的によく分かっていない可能性があります。以下は、こういうことではないかという推定も含んだ回答です。

1)皇女(ひめみこ):これは称号で、皇族、なかでも天皇の娘に対する称号です。

2)王(おほきみ):分かりやすいように「女王」とも書きますが、古代では、男性も女性も含めて「王」であったようです。これは、皇女や皇子の娘・息子の称号ということになりますが、もっと広く、大和の大王家と「親族関係にあった一族」の男子・女子の称号であったと思えます。親族関係というのが、どういう関係なのか良く分からない人物もいる訳です。大王の子孫なら、当然、「王」や「女王」ですが、それ以外にも有力な豪族で、大王家と何かの親族関係・血族関係を持つ者が、この称号で呼ばれます。

(「地名+王」という形の人物がいますから、「三輪王」とかは、「三輪君」と同様、領地の主としての称号で、それが名前となっているとも言えます。天武・天智二人の天皇の妃となった、「額田王」が古代の歌人として有名ですが、「額田」というのは、非常に一般的な氏族や地名の名で、「額田王」で一種の固有名扱いされていると思えます)。

3)媛・姫(ひめ):これは、婦人に対する「美称」で、後には、高貴な女性の尊称ともなりましたが、古代では、美称であって、「名前の一部」にもなったと考えられます。例えば、推古天皇は、和名の諡名(贈り名)では、「豊御食炊屋姫天皇(よとみけかしきやひめのすめらみこと)」と言います。

皇極天皇(斉明天皇)は、正式な贈り名は長いですが、簡単には、「宝姫天皇(たからひめのすめらみこと)」とも呼びます。「宝」が名で、皇女のときは、宝皇女(たからのひめみこ)ですが、天皇としては、「宝皇女天皇(たからのひめみこのすめらみこと)」とは言いません。また、皇極天皇の母は、吉備姫女王(きびのひめのおほきみ)と言いますから、「姫+女王」で二重称号ではなく、美称として「姫」が加わって、「吉備姫(きびのひめ)」で名となっていると考えられます。

蘇我稲目の娘で、舒明天皇の妃となった二人の娘は、堅塩媛(きたしひめ)と小姉君(おあねきみ)と呼ばれますが、この二人から生まれた皇子や皇女は、色々と複雑な関係になり、小姉君系の子孫は結果的に滅ぼされていますが、この場合の「媛」は美称で、「君」は尊称で、そのまま、名前の一部になったものと考えられます。「小姉」というのは名前というより、家族のなかの位置を示しているようにも思えますが。古代の人名での使用例から言えば、「姫」の方が「媛」よりも身分が高いように思えます。

4)娘(いらつめ):これは「いらつこ」の対語で、「可愛い少女・女」という意味で、名前に愛称的に付けるものですが、美称・尊称としても使われたのだと考えられます。天皇の妃で、皇族でない娘、豪族の娘などが、この美称で呼ばれていますが、「皇族・王族ではない」ということを示しているので、特に身分を示すものではないでしょう。(ただし、こう呼ばれるのは、最低限でもある身分があるということです。大小豪族の娘の美称・尊称と考えるのが良いと思います)。

5)女(をとめ):これは、「若い娘、処女」と言う意味ですが、天皇の妃で、結婚している女性で、こういう美称が付く者がいますから、結婚前、結婚直後あたりは、「若い娘・処女」という意味あいで使っていたものが、時代的に、呼称として固定したのだと思えます。それは、「娘(いらつめ)」の場合も同様で、『日本書紀』などの文章で、「何何娘」とか「何何女」と出てきているので、一種の固有名の一部のような扱いになったのでしょう。身分的には、「娘」と変わりないとも思えます。

6)刀自(とじ):一家の主婦またはそのような役割の婦人。また、婦人の尊称ですが、古代に出てくる場合は、「名前の一部」としてあると思えます。壬申の乱で天武に敗れた、大友皇子(弘文天皇)の正妃は十市皇女ですが、妃に、藤原鎌足の娘、「耳面刀自(みみもとじ)」がいますが、この「刀自」は、聖徳太子の妃で、蘇我馬子の娘の「刀自子娘」と同様、固有の名だと考えられます。

(固有の名という場合、「額田王」のところで述べたように、一般的な立場の呼称が、固有名になっている場合があります。「刀自古」が蘇我馬子の「長女的存在」で、家族内の位置から、そういう名なのかどうか、わたしには分かりません。刀自子には姉がいて、竹田皇子の妃になっていたようにも思いますし、妹か姉か、河上娘が崇峻天皇の妃になっています)。

また、古代の女性は、本名を隠したか、または「汚い名」を付けていることがあります。聖徳太子の最初の正妃は、「菟道貝蛸皇女」ですが、この「菟」は「蛆」に通じていて、汚い名ということになります(悪霊などが、子供を攫って行くことを恐れ、呪術的に、わざと汚い名を付けたというのがあります。「こういう汚い名の通りの価値のない娘です」というような意味です)。「固有名」というのは、現代から見て、固有名になっているので、当時は、「通称」であった名であるとも言えます。「太郎・次郎・三郎」というのは、元々「長男・次男・三男」という意味ですが、これで「固有名」に後にはなります。
 
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます♪
『娘』とかいて(いらつめ)とも読むんですね。
『郎女』を知った方が早かったので、てっきりこちらは(おとめ)と読むと思っていました。

うーん・・それにしても、美称やら尊称やら。。。意味を考えて名前を見ていると、何やらややこしくて頭がついていけなくなってしまいます(爆)

>藤原鎌足の娘、「耳面刀自(みみもとじ)」がいますが、この「刀自」は、聖徳太子の妃で、蘇我馬子の娘の「刀自子娘」と同様、固有の名だと考えられます。

なるほど。丁度この時代の系図を見ていて、不思議に思っていたんで納得しました。

古代の女性の名前は、現代人のような名前ではないんで、人によっては本当に読むことすら難しかったりしますよね。

詳しい回答、本当にありがとうございました!

お礼日時:2004/06/21 23:12

古代・・・奈良時代以前としてお答えします


 まず前提となるのが、奈良時代以前にかかれた書物というのはほとんど現存していません。日本書紀、古事記でも奈良時代。なのでそれ以前のことは口伝えで残っていたものを文字化したので当然人によって違ってくるものもあります。また日本書紀、古事記それ以後のものでも印刷技術がなかったため、書写されているうちに間違って伝えられるものも多いです。ましてや女性の名前はけっこういい加減に伝えられています。
 例えば藤原仲麻呂の正室の名前は
「袁比良」
「袁比良賣」
「宇比良古」
「袁比良姫」
などです。同じ人でも接尾語(「女性」表す)がいい加減です。また万葉がなでいくとおりもの表現ができます。

以上を前提に
皇女・・・基本的に天皇の娘
王・・・姫王・女王とも表現される 天皇以外の皇族の娘
姫・・・日本書紀では上流階級の娘 
媛・・・日本書紀では中流階級の娘
刀自・・・女性への敬称 一族の長女など主婦的存在の娘
女・・・庶民階級の娘 上流階級への敬称「姫(比賣)」の「め」の字

基本的に上記のような分かれ方ですが、古事記では天皇の娘に「皇女」をつかわず「王」を使うこともありますし、貴族の娘にも「女」をつかいます。
また上記以外にも上流階級には「イラツメ」という接尾語をつける女性もいます(「郎女」「郎姫」などと描く場合が多いです)
 なので聖徳太子の妻の一人
「刀自古郎女」
は固有名詞ではなく、「蘇我氏の長女のおひめさま」くらいの普通名詞になります。

飛鳥時代以前などは男女とも同じ名前で、接尾語の「彦(古)」「姫(女)」だけで分けていた場合もあります。
例 サホ彦 サホ姫
昔の名前は単純なので接尾語をみればその人の階級を推測することも可能です。

これが平安時代になるとまた変わってきます。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
なるほど。基本的な考え方はあるけど、色々と間違って伝えられている可能性もあったりして、全てが全てその枠にはめられるわけでもないんですね。
確か、天智天皇の正妻となった『倭媛』は、『皇后』になるから『倭女王』と表記しても良いはずだけど、そうじゃないですもんね。

>飛鳥時代以前などは男女とも同じ名前で、接尾語の「彦(古)」「姫(女)」だけで分けていた場合もあります。

確かに、『鏡王』と『鏡女王』とか、系図を見ていると、多数の同じ名前がついてる人を見かけます。
『鏡王』の場合、親子ですけど、昔は同じ名前ついていても(世間的に)問題はなかったんですかね?


古代は名前ひとつとっても、本当に面白いですね。もっと勉強したいと思います。

わかりやすい回答、本当にありがとうございました!

お礼日時:2004/06/21 22:22

さっぱり詳しくないのですが、判る範囲で答えさせていただきます。



・皇女、王…仰っている通りですね。ex.額田王
・姫、媛…貴族の娘とか、身分ある女性。いわゆる、「姫」。
・娘、女…「むすめ」と読みます。
      そのまんま、だれそれの娘のこと。
・刀自…「とじ」。古代に限らず使用するようです。
     主に家事をする女性、
     或いは年配の女性への敬称

女性の地位は低く、固有名詞が歴史に残されることが少なかったので、
(高貴な身分の女性くらい)
「○○(父親の名)の娘」とか、「○○(息子の名)の母」とか、
「○○(地名)の女」などの形で残されているようです。
紫式部や清少納言だって、固有名詞じゃないですもんね。
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この回答へのお礼

早速ありがとうございます!!
確かに、固有名詞として残されている人が、本当に少ない古代の女性の地位は低いものだったんですね。
結婚の形態にしても、それはいえますよね。

でも、もし固有名詞で残っていたとしても、皇族の人達のように長い名前だと、覚えるのにも一苦労しますね(笑)

わかりやすい回答を、ありがとうございました♪

お礼日時:2004/06/21 22:00

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