プロが教えるわが家の防犯対策術!

インフルエンザの話にときどき「血清型」という言葉が出てきます。例えば、「鳥インフルエンザウイルス(血清型H5N2、H5N6)」とか「A型インフルエンザウイルスは、ウイルス表面の抗原特異性に基づいてH1~H15までの血清型に分類されています。」などです。

(1)
この「血清型」とは何でしょうか。「血清」は何となく分かるのですが、「血清型」が分かりません。特に、「血清型H5N2」などと言われると分かりません。「H5N2」などはウイルスの種類だと思っていました。なぜそれが「血清型」なのでしょうか。

(2)
「血清型」の「型」と「A型」、「H5N1亜型」などの「型」とは、同じ文字ですが、何か関係があって同じ文字が使われているのでしょうか。それともこれらの間には何の関係もないのでしょうか。

よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

 Jagar39です。


 事情は理解しました。ですが、前の質問に対する回答に何も反応しないまま関連した新たな質問を立ち上げる方が"礼を失した"行為でしょう。前の質問に対する回答を理解する努力をしているとのことですが、理解できれば今回の質問もしなくて良い(前の質問に対する回答が、今回の質問に対する回答も含んでいるから)わけですし。
 まあ、以後気をつけて頂ければと思います。

 というわけで、前回の回答と重複する回答になりますが、本質問に対する回答を。

 まず、生物の分類という基本から説明します。

 生物の分類は大きな階級から、ドメイン・界・門・綱・目・科・属・種となっています。例えばヒトは「真核生物・動物界・脊索動物門・脊椎動物亜門・哺乳綱・霊長目・真猿亜目・狭鼻下目・ヒト上科・ヒト科・ヒト属・ヒト種・ヒト亜種」です。ヒトの学名は "Homo sapience sapience" ですが、このHomoが属名(ホモ属)、sapienceが種名です。
 生物の"学名"は、このように「属・種名」という二名法で表記されます。学名がラテン語表記なのもご存じのとおりです。

 ですがウイルスの分類は他の生物とは大きく異なり(そもそもウイルスは生物か?という議論がされるくらいですから)、まず"目"から上の階級はありません。最近"目"の分類がされているようですがあまり馴染まれてません。
 で、ウイルスの分類は「群・(目)・科・属・種」の階級ということになります。群というのは遺伝子の形態による分類で、細かな説明は省略しますが、インフルエンザウイルスの分類は「第4群(1本鎖-鎖RNA)・目未分類・オルソミクソウイルス科・A型インフルエンザウイルス属・A型インフルエンザウイルス」ということになります。
 学名も二名法ではなくただの英文表記です。"Influenzavirus A"というのが学名になります。

 で、前の回答で「型」は正式な分類学用語ではない、と書きました。

 つまり、これ以上細かく分類できない「種(または亜種)」の下でさらに分類する必要がある場合に、「型」という言葉を使っているのです。

 例えば、ヒトも肌の色で黒人、白人、黄色人種などと分類しています。この黄色人種の"種"は分類学での"種"ではないことはご存じのとおりです。
 また、属している社会単位によって日本人とかカナダ人、はたまた関西人や東北人といった分類もします。
 さらに、生活習慣によって夜型とか朝型などという"分類"もできます。

 この夜型という言葉の「型」と血清型の「型」は、言葉の意味において本質的に同じです。

 A型インフルエンザウイルスという1つの種のウイルスを、さらに細分化する必要がある場合に、いろいろな分類の仕方があるわけですが、それらの分類に対しては通常は「型(type)」という言葉を使っているだけの話です。

 ですから、「何で細分類しているか」によって「○○型」に入る言葉が違うわけです。
 A型インフルエンザウイルスの場合、鳥に感染するウイルスとヒトに感染するウイルス、また豚に感染するウイルス、さらに馬に感染するウイルスの4つの「型」が存在します。一般的には「鳥型インフルエンザウイルス」とか「ヒト型インフルエンザウイルス」という言い方はしませんが、これは紛れもなく「どの動物に感染するウイルスか」という生物学的な特徴によって型別しているわけですから、もしA型インフルエンザウイルスを「鳥型」とか「ヒト型」に分類すれば、それは「生物型」ということになるでしょう。

 また、インフルエンザウイルスの話ではありませんが、ある特定の遺伝子領域にバリエーションがあって識別可能な時、「遺伝子型」に分類することはウイルスではよくあります。
 例えそのウイルスの遺伝子型によって病原性や感染動物などの生物学的な差がなくても、遺伝子型に分類することは意義があることがあります。
 例えばある地域には遺伝子型1がほとんどで別の地域には遺伝子型2が大半を占めていることが解明されれば、この2つの地域では別々に流行が起きていることが推察できるわけです。そういう疫学的な解析に利用できる情報になり得るわけです。

 さて、問題の「血清型」ですが、インフルエンザの場合はHAとNAというウイルスを構成する2つの蛋白質の"形"によって分類されています。
 "形"が違う、ということは、そのウイルス蛋白に対して感染した宿主が作る抗体が違う、ということです。
 この"形"がHAに関しては16種類(15ではありません)、NAに関しては9種類あり、その組み合わせでH1N1亜型とかH5N1亜型、という血清型別をしているわけです。

 なぜ「血清型」と呼ぶかですが、この型別をするには要するにウイルスとそれぞれの"型"に対する抗体を反応させて「どの型に対する抗体と最もよく反応するか」を調べて決めるわけですが、それはもちろん「抗体を含んだ血清」と反応させるわけです。ですから「血清型」なのです。英語だとserotypeです。
 つまり「血清型」と「抗原型」はほぼ同義です。

 具体的には、あらかじめH1と判っているウイルス、H2と判っているウイルス、H3...のそれぞれのウイルスをウサギやモルモットなどの実験動物に感染させて抗体を作らせ、それらの動物から血液を回収して血清を作り、それを検査用にストックしておくわけです。もちろん主要なウイルスに対してはたいてい製薬会社が市販しているモノを購入することも多々あります。
 で、調べたいウイルスや細菌を、それらの血清と反応させて「どの血清と反応したか」で血清型を決めていくわけです。

 (2)については、前の回答の繰り返しになりますが、「亜型」は「型」の下位の分類です。種と亜種の関係と同じです。

 インフルエンザウイルスの場合、「インフルエンザウイルス」という1つの「種」の下で、A~Cの3つの「型」に分類されていた時期がありました。つまりこの3つのウイルスは1つの種に分類するのが妥当なほど"同じような"ウイルスだと考えられていたわけです。
 ですが、遺伝子構造の解析が進むにつれて、それぞのウイルスの遺伝子構造がかなり大きく異なっていることが判ってきました。また、A型は鳥やヒト、馬や豚など宿主域が広いのに対してBやC型はほとんどヒトにしか感染しないこと、抗原変異もA型は激しいのに対しBはそれほどでもなく、Cはほとんど変異しないなど、生物学的な特徴も異なっていることが解明されてきました。

 そこで、それまでA~Cに「型別」されていたそれぞれの「型」が、種を飛び越えて一気に「属」のレベルまで格上げされて再分類されたわけです。

 一方、A型インフルエンザは抗原性のバリエーションが多く、HAとNAの2つの蛋白質については多くの「型」があることが判り、それらは「A型」の中の分類ですから「亜型」として型別されてきたわけです。

 そこにこれまでの「型」が一気に属に格上げされたのですから、HAやNAの血清型は本来だと血清型として「型」と呼べば良かったのですが、従来からの慣習で「亜型」のままの呼ばれ方をされている、という話です。

 余談ですが、インフルエンザウイルスの「型」には、他に比較的馴染みがある言葉としては「強毒型(高病原型)と弱毒型(低病原型)」をご存じだと思います。これも「型」です。
 これは現在きちんと定義されている型別基準としては、「鶏の呼吸器あるいは消化器粘膜にのみ感染するのが低病原型で、全身臓器に感染するのが高病原型」ということになります。すなわちこれは「生物型」です。

 ただし、別のPBという遺伝子領域が特定の変異をすれば、全身感染型にならなくてもサイトカインストームという、いわば宿主側の免疫系の暴走を誘導しやすくなることが知られていて、これもサイトカインストーム誘導型になれば病原性が強くなるわけですから、「強毒型」と呼ばれることがあります。スペイン風邪の流行時、流行中に「強毒変異した」のですが、これはこのサイトカインストーム誘導型になったことを示しています。
 この2つの意味の「強毒型&弱毒型」という型別は、後者の方がまだ十分コンセンサスを得られていないまま使われたりしているので、特に報道では混乱が見られています。

 現在の新型インフルエンザウイルスは、まず絶対に「全身感染型」には変異しませんが、「サイトカインストーム誘導型」には変異する可能性があります。ですから現在の新型に対して「強毒型に変異するかも」等という場合は、本来は全て「サイトカイン誘導型に変異するかも」と読み替えるべきなのですが、H5N1と同じ意味の強毒型になるかも(こちらは全身感染型の流行が危惧される)、と誤解された報道やコメントが多々あります。
    • good
    • 3
この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

前の質問と同じく、理解するのに時間がかかりました。
しかし、このような体系だったお教えを頂き、大きく前進できたように思います。御礼の申し上げようもありません。

ありがとうございました。

お礼日時:2009/10/12 15:03

 前の質問(

http://okwave.jp/qa5340779.html)に対する私のNo.2の回答で、この質問にもほぼ答えていると思うのですが、そちらに何のレスポンスもなしにわざわざ再質問を立てるのはどういうおつもりなのでしょう。

 それが前の質問に対する私のNo.2の回答がまったく信用できないという意思表示であるなら、私はもう貴方の質問には回答するのは控えますが、前のNo.2の回答でまだ判らないところがあるのなら、レスで再質問するなり締め切った上で新たに再質問を立てるのが礼儀ではないですか?

この回答への補足

早速の御回答ありがとうございます。

また、前回の御回答に何の補足、御礼もしないで申し訳ありません。何の補足、御礼もしなかったのは、内容があまりにも専門的であり、また余りにも正にお尋ねしたかった点にピンポイントで御回答いただいたので、感激し、お教えいただいた内容を少しでも充分に理解しようとして今悪戦苦闘中のためです。お教えいただいた内容は、素人のためよく分かっていませんが、おそらく二百万パーセント正しいと思っています。疑っている点は皆無です。ただ、理解したいと思っているだけです。

今回の質問(http://oshiete1.goo.ne.jp/qa5346194.html)を前回の御回答への補足の形でしなかったのは、1回の質問で補足、補足、補足...で多くのことをお尋ねするのは失礼ではないかと思ったからです。1回の質問では最初の質問の範囲を超えないように補足させていただくべきではないかと思ったからです。

そのような事情で、前回の質問にはまだ補足、御礼ともできる段階にありません。もしよろしければ今回の質問にも御回答いただけると本当に有り難いです。

よろしくお願いいたします。

補足日時:2009/10/06 19:53
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!