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新型インフルエンザ蔓延が注目されていますが、感染者のくしゃみ飛沫などでその辺に飛び散って物に付着したままのウイルスは、通常の環境では死滅するのでしょうか?死滅しないのでしょうか?あるいは冬眠(?)して環境が整えば復活するのでしょうか? ほこりに混じって、長期間浮遊して人間の鼻から侵入して安住の地を得ることもあるのでしょうか~?

A 回答 (3件)

 獣医師でウイルスに専門知識を有しています。



 他の回答で指摘されているように、インフルエンザはウイルスによる感染症で"菌"ではありません。なお、"風邪"とは単一の病名ではなく風邪症候群と称され、原因も症状も様々な疾患の総称です。インフルエンザも風邪様の症状を示すので風邪症候群に分類されるのが一般的ですが、インフルエンザと風邪は区別すべきという意見が最近では多いです。
 また、"風邪"の原因は大半(80-90%)がウイルスですが(ライノウイルスやアデノウイルスなど)、マイコプラズマやクラミジア、細菌による"風邪"もあります。

 なるべく簡単にウイルスと菌(細菌等)の違いを説明します。

 ウイルス以外の微生物は全て「細胞」から成っていて、根本的には私達の身体を構成する細胞と変わりありません。つまり栄養さえ与えてやれば栄養からエネルギーを産生し、自己増殖することができます。
 ところがウイルスは、"細胞"ではありません。遺伝子がタンパク質の殻に収まっているだけ、というシンプル極まりない構造ですので、栄養を代謝してエネルギーに変換する機能を持っていないわけです。それ以前にウイルスの"殻"は外部と物質をやりとりする機能すら持たない、本当に"単なる殻"という点で細胞膜とは決定的に異なります。

 つまりウイルスは、他の生物全てが行う「代謝」をしません。自分の遺伝子の複製を作ることすら単独ではできません。
 ではどうするかというと、「生きている細胞」の中に侵入し、細胞のシステムに自分の遺伝子を読ませて複製させ、また遺伝子にコードされている物質("殻"など)を合成させて、細胞にウイルス粒子を生産させるわけです。

 つまり一言で言えば、ウイルスは「生きた細胞内でしか増殖できず、また増殖以外の生命活動を一切しない微生物」ということになります。
 ですから環境中のウイルスは生命らしい活動は何もせず、ただ時間と共に壊れていくだけの存在です。
 その壊れる速度はウイルスによって異なります。つまりその「殻」の構造によってなかなか壊れないものと壊れやすいものがあるわけです。
 インフルエンザウイルスはどちらかというと「壊れやすい」ウイルスです。壊れにくいウイルスの筆頭はノロウイルスあたりでしょうね。

 上でウイルスは「生きた細胞に侵入して」と書きましたが、ウイルス自身は代謝をしていない、ということは何のエネルギーも産生していないわけですから、能動的に細胞内に侵入することはできません。
 ではどうするかというと、細胞表面の特定の"突起"に結合することによって、細胞が勝手にウイルスを取り込んでくれるわけです。
 判りやすく言い換えれば、細胞に出入りする扉に鍵穴が付いていて、ウイルスが鍵を持っているわけです。鍵さえ合えば細胞の方が扉を開けてウイルスを取り込んでくれるわけです。
 もちろんこの扉と鍵穴は細胞がウイルスのためにわざわざ用意したものではありません。他の目的で物質のやりとりなどのために用意されている扉です。

 この鍵と鍵穴の関係は特異的なものなので、全てのウイルスは「感染できる細胞」が決まっています。ヒトのインフルエンザウイルスならヒトの呼吸器粘膜か消化管にしか感染できません。

 ですから、「感染者のクシャミによって飛び散ってモノに付着したウイルス」は、時間と共に死滅していきますが完全に死滅する前に他の人がされに触ると、その人の手に付着します。
 でも、そのまま手から感染するわけではありません。例えその人の手に傷があってウイルスが直接血中に侵入しても、血液中にはインフルエンザウイルスが感染できる細胞が存在しませんから、免疫細胞に食われて終わり、です。
 その手に付着したウイルスが食事時などに口に侵入し、唾液の抗ウイルス作用にも生き残ったウイルスが咽喉頭まで到達して初めて感染が成立するわけです。

 主に気管支粘膜で増殖したウイルスは、粘膜分泌物や唾液と一緒に咳やクシャミで排出されます。これを吸入すると感染が成立します。
 これが「飛沫感染」です。飛沫感染は広義には空気感染に分類されますが、一般的には空気感染は「飛沫核感染」のことを指します。
 飛沫感染と飛沫核感染の違いは、単に"飛沫粒子"の大きさだけです(飛沫核感染の方が粒子が小さい)が、飛沫核感染の方は肺結核などで肺病巣から乾性の咳で排出された病原体が感染するような場合になります(乾いた咳なので当然"飛沫粒子"は小さい)。

 ですがインフルエンザウイルスも飛沫核感染、すなわち「空気感染」をまったくしないというわけではありません。
 低湿度環境では、咳やクシャミの飛沫の水分が飛んで粒子が小さくなりやすいため、空中の浮遊時間が延長します。またその時低温であればウイルスの生存時間も延長するので、「飛沫核感染」が成立しやすくなります。

 というわけで、ご質問には回答したと思うのですが、一言でまとめてしまうと、

>染者のくしゃみ飛沫などでその辺に飛び散って物に付着したままのウイルスは、通常の環境では死滅するのでしょうか?死滅しないのでしょうか?

 A.死滅する

>あるいは冬眠(?)して環境が整えば復活するのでしょうか? 

 A.復活はしない

>ほこりに混じって、長期間浮遊して人間の鼻から侵入して安住の地を得ることもあるのでしょうか~?

 A.あり得る

 です。ただし死滅は直ちに死滅するわけではありませんし、「長期間浮遊して」の"長期間"も何日も、というほどの時間ではありません。

 余談ですが、ウイルスはvirusですが、ウイルスの他にウィルス、ビールス、ヴィールス、バイラスなどと読むこともできます。
 ですが専門家はほとんど"ウイルス"と言います。雑談などでは"バイラス"と言う人もけっこういますが、"ウィルス"と発音、または表記する人は専門家ではほぼ皆無です。専門書や日本語論文でもほぼ全て"ウイルス"です。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
無知な、ど素人の質問に対し、懇切丁寧に詳細にわたってお付き合いいただきこころより感謝申し上げます。当方の意図をくみ取っていただきよく理解できました。冬季の感染拡大理由がはじめてわかりました!
講師にお呼びしたいですねえ~~!
ありがとうございました。

お礼日時:2009/08/22 09:43

新型インフルエンザは、インフルエンザウィルスによるもの。


インフルエンザ菌は、肺炎を起こす菌で、インフルエンザとはまったく別物です。
まだ医学が発達していないころ、インフルエンザの原因だと思われたのでインフルエンザ菌と名づけられましたが、あとでまったく関係ないことがわかりました。
名前だけそのまま残ってます。
菌とウィルスはまったく別物です。
いわゆる風邪の原因も、すべてウィルスによるものです。
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インフルエンザは菌でありません、ウィルスです。


空気感染はしません。
ネット検索が出来るこのごろ。
疑問を自ら調べる探求心を持ち、基礎知識をもちましょう。
質問はそれからです。
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