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国民主権の基本原理には、ナシオン主権[国民主権)とプープル主権(人民主権)があるそうですが、この2つの違いは何なのでしょうか?意味の違いがわかりましたら、教えて下さい。

A 回答 (2件)

一般的には同義ですが、あくまで理念面で区別する捉え方があるらしく、憲法学などでは以下のように説明されます。



まず、「国民主権」の「国民」とは、過去から未来への時間を超えた抽象的な存在としての国民を指します。
この場合、主権は国民個々人に分有されず、総体としての国民に帰属し、国民は直接現実に主権を行使し得ないという見解です。
つまり、実在するAさん・Bさん・Cさん・・・の各々に主権があるのではなく、全体概念としての国民に主権があるのであって、そのような抽象的で政策・統治能力を持たない国民に代わって国民代表機関(議会・政府)が実際に国家権力を担うという考え方です。
従って、国民代表は、国民から独立した自由意思で政策決定できると解する点で、「間接民主制」を民主主義の理念型とする主張と結び付きます。

一方、「人民主権」は、主権が具体的存在としての国民個々人に区別されて帰属するという見解です。
つまり、Aさん・Bさん・Cさん・・・の各々に主権があるから、国民間で利益が相反する問題については、全員が話し合いに参加するという権利を行使した上で、政策決定をするという「直接民主制」を民主主義の理念型とする主張と結び付きます。
この場合は、いちいち国民が全員集合して個別的な政策決定をすることが物理的に不可能な故に、次善策として間接民主制が採用されているのであるから、国民代表は、現実の国民の意思に従わなければならないと考えられています。

つまり、「国民主権(ナシオン主権)」は総体としての国民という概念に主権があり、「人民主権(プープル主権)」は実在する国民一人一人に主権があると考えるわけです。
言葉のニュアンスを考えても、「国民」はあくまで「国の民」であって「国」が前提にあるのに対して、「人民」は独立した「民」そのものという感覚をもつところから、微妙な違いがあるように思います。

以上は、学説上の対比概念にとどまり、先鋭的な論争もないようですが、例えば、環境問題等をめぐって、地域住民が国に対して行政訴訟をした事案について、裁判所が「住民に訴えの利益がない」として却下する場合は、そこに「国民主権」的な論拠があり、他方、住民投票等の住民自治によって解決を図ろうとする主張は、「人民主権」的な概念を基調にしたものと思われます。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2008/05/23 17:49

どちらも君主主権に対し国の政治の在り方を最終決定する力が


一般市民にあるという意味では共通するのですが、
「国民という総体・集団」に主権がある、とらえるか(ナシオン主権)、
「一人ひとりに主権を行使する手段があり、その集大成として主権が行使される」ととらえるか(プープル主権)
が最も端的な違いと言えると思います。

前者の考え方だと、国民というのはある意味漠然とした定義であり、
国籍を持っていればとりあえず当てはまるといえます。
(いずれ一人一人が権利を持っているわけではなく、集団になって初めて権利を持つので、一人一人の適性を厳格に考えてもしょうがない)
後者だと、人民はあくまで参政権を持った人ということになります。

で、注意すべきなのは、日本国憲法での「国民」とか「(何)人」という表現は
必ずしも上記の区分に従っているわけではない、ということです。
たとえば10条の「国民」は国籍を持つ人という意味なので前者、
15条1項の「国民」は参政権を持つ人という意味なので後者です。

基本的に現代で「国民主権」といえば
どちらかといえばプープル主権の性質をもったものが多いと思います。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2008/05/23 17:48

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