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 ある株式会社(代表取締役A)が倒産しました。B・C・Dはこの会社のサラリーマン取締役でした。
 この倒産後、A、B、C、Dの経営陣は特別背任罪による損害賠償請求訴訟(B・C・Dは刑事にては無罪)を提起され、Aは単独にて訴訟代理人を立て、B・C・Dは共同して訴訟代理人を選任して訴訟に臨んでおりました。
 そして、係争中にBが死亡し、その妻子であるE・Fが単純相続することとなりました。

 上記のケースで質問があります。

 裁判手続きの承継とは民事訴訟法の規定にあり、この規定においてはBの死亡を以てしても、訴訟代理人がいるのだから訴訟手続きは中断されず、この代理権も消失しないものとされていますよね。

 加えて、一身専属的な裁判手続きは訴訟の目的と性質の判断により承継されないものとされておりますよね。

 これらを前提に2点伺いたいのです。

1、サラリーマン取締役であったBが死亡した時点で、この訴訟の性質が一身専属的なものであることからEとFは裁判手続きを承継せず、Bに対する裁判手続きは終了すると私は考えるのですがいかがなのでしょうか?

2、上記1において終了すると考えられる場合においても、BにはCとDとで共同選任した訴訟代理人がいます。ここでEとFが承継する必要のない裁判手続きを終了させるには、この訴訟代理人を解任することが有効となるのでしょうか?

 以上、宜しくお願い致します。
 

A 回答 (7件)

>原告側に立証責任があるのならば、2の点に関し、増資時に債務超過であった事実・自分たちがどこを調べても債務超過を知る由がなく自らに過失がなかったこと、1の点に関し、サラリーマン取締役が自社株購入に至った背景には被告が倒産するだろうと思っていた事実を立証していかなければならないわけですよね?



 訴状や準備書面、証拠に目を通していないにもかかわらず、上記の質問について回答をすることは、無用な混乱を招くおそれがあります。具体的な問題については、具体的な事実関係を把握している訴訟代理人に聞いた方がよいです。よって、一般的な前提知識について回答をします。

原告が主張し、証明すべき事実は、
1.取締役に任務懈怠(取締役の注意義務に反してその職務を怠ったこと)があったこと。
2.1.について取締役に悪意(知っているという意味です。)又は重過失(ちょっと注意すれば、知りえたという意味です。)があったこと。
3.原告に損害が発生したこと。
4.1.と3.との間に因果関係があること。
です。(会社法第429条第1項)

または、
1.増資に関する資料に虚偽の記載があったこと。
2.原告に損害が発生したこと。
3.1.と2.との間に因果関係があること。
です。(会社法第429条第2項1号イ)ただし、取締役が、虚偽の記載のある資料等の作成について注意を怠らなかったことを証明すれば責任を負いません。(会社法第429条第2項ただし書)

>被告が敗訴した場合、ご掲載いただいた条文を読めば”連帯”とありますが、これについてAとB・C・Dが賠償責任について争うことは可能なのでしょうか

 責任割合という意味でしょうか。責任割合については、今回の訴訟とは別にAとB・C・D間で争うことは自由です。

>また、判決時において賠償責任を負うのはAとCだけであり、BとDは賠償責任なしとなることもあるのでしょうか?

 AとCには任務懈怠があったが、BとDには任務懈怠がなかったのでしたら、そうなります。
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この回答へのお礼

ご丁寧な幾度もの回答ありがとうございました。

もう少し、裁判の状況について情報を仕入れながら注意深く見守っていきたいと思います。

またこちらで何かしら質問させていただくこともあろうかとは思いますが、そのとき目にとまったならば何卒宜しくお願い致します。

お礼日時:2008/02/25 10:57

>今後は、訴訟代理人やC・Dとコンタクトを取っていくことがベターなのでしょうか?


 
 そう思います。

>訴訟内容としては、取締役会において増資決議をしたが、結果として倒産してしまい、この増資に応じた人から損害賠償請求訴訟を起こされているのです。被告側は、増資決議は経営判断より間違っていないと反論しております一方、原告側は無理な増資を行ったと主張しております。

 無理な増資というのは何でしょうね。基本的には増資というのは、会社の財務体質を強化するのですから(借金は利子を付けて返さなければなりませんが、新株発行で払込を受けたお金は株主に返還する必要はありません。)、増資自体は倒産と結びつきづらいと思います。(無駄な延命を図ったと言うことでしょうか?)増資を集う際、会社の財務状況等の説明資料に虚偽の記載(債務超過状態を隠していた等)をしていたというのでしたら、まだ分かるのですが。

>仮に原告側の主張が認められたならば、A・B・C・Dの賠償額は同額になるのでしょうか?

 役員の任務懈怠により第三者に損害を与えた場合、他の役員も損害を賠償する責任を負うときは、それらの役員らは連帯債務者になります。(会社法第430条)訴状もそうしているはずです。
 仮に裁判所が役員全員の責任を認め、損害額が1000万円だと認定した場合、「被告A・B・C・Dらは、原告に対して、連帯して金1000万円の金員を支払え。(説明を簡単にするために遅延損害金は記載していません。)」と言う判決になります。(Bに相続が発生した場合、内容が変わるのですが、説明が複雑になるので、Bは死亡していないものとします。)
 連帯してというのは、原告はAに1000万円を請求してもいいし、順次A・B・C・Dに1000万円を請求しても良いし、あるいは、A・B・C・D全員に同時に1000万円を請求してもいいという意味です。(A・B・C・D全員に同時といっても、4000万円請求できるという意味ではありません。)ですから、取締役4人の各責任の重さが仮に平等だとしても、Aは「自分の責任の割合は25%だから、250万円しか払わない。」と言うことはできません。Aが原告に1000万円の支払をして、後で残りの各取締役に対して250万円ずつ求償することはできますが、それは原告には関わり合いがないということです。

>これを不服として控訴するならば、以降はそれぞれ個人として控訴するか、再度共同して控訴するか、ということになってくるのでしょうか?

 通常共同訴訟なので、共同訴訟人独立の原則が適用され、各被告が控訴するかしないか決めることができます。したがって、A、Bは控訴するが、C、Dは控訴しないというのも可能です。

>下記相続状況において補足させていただきますと、家裁にEとGとHの放棄手続きを取っていないので単純承認とみなされますね・・

 被相続人の死亡により自分が相続人になったときから三ヶ月以内の熟慮期間に相続放棄の申述をしないと、単純承認したものとみなされます。ただし、例外的に債務が全くないと信じるにつき相当の理由がある場合、熟慮期間の起算点を債務の存在を知ったときに遅らせるような審判例はあります。

 下記の参照条文ですが、取締役の任務懈怠行為が会社法施行日(平成18年5月1日)前になされた場合、旧商法第266条の3が適用されるので、会社法の条文を挙げるのは適切ではないのですが、規定の仕方はほぼ似ていますので、参考にはなると思います。

会社法
(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条  役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2  次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一  取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ 虚偽の登記
ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
二  会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三  監査役及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四  会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

(役員等の連帯責任)
第四百三十条  役員等が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
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この回答へのお礼

おはようございます。

無理な増資というのは原告側の言い分であって、被告側は勿論否定しております。原告側は増資に応じてから8か月で倒産に至ったことより、債務超過だったにも関わらず延命措置としての増資を行ったと主張しております。一方、被告側の主張は大まかに以下の通りです。

1、サラリーマン取締役たち自身が増資時に自腹で自社株購入するなどしている事実より、倒産に至るなど想定していない証拠。

2、増資から倒産へ至る間に公的機関による企業査定マニュアルに変更が生じ、この変更されたマニュアルに沿った査定が行われたために債務超過に陥ったとされています。つまり、原告の訴えはマニュアル変更後より逆算された訴えであるとのこと。

 2より、増資時に債務超過でないと虚偽の説明を行ったわけではなく、増資から4か月くらいして予期せぬ債務超過に陥ってしまったとのケースです。

 原告側に立証責任があるのならば、2の点に関し、増資時に債務超過であった事実・自分たちがどこを調べても債務超過を知る由がなく自らに過失がなかったこと、1の点に関し、サラリーマン取締役が自社株購入に至った背景には被告が倒産するだろうと思っていた事実を立証していかなければならないわけですよね?

 被告が敗訴した場合、ご掲載いただいた条文を読めば”連帯”とありますが、これについてAとB・C・Dが賠償責任について争うことは可能なのでしょうか?また、判決時において賠償責任を負うのはAとCだけであり、BとDは賠償責任なしとなることもあるのでしょうか?

 

お礼日時:2008/02/22 11:51

>具体例の中に、売買契約・金銭貸借契約・交通事故の事例がございますが、これらの事例においては前述EもFも加害者になり得るために一身専属的ではないと私は考えてしまうのですが・・


  
 EもFも売買契約の当事者になりうると言うのでしたら、EもFも取締役になりうるのです。確かにEもFも実際に役員に選任される可能性は皆無に近いということはあるでしょうが、それならば、交通事故はともかく、EもFも、故意に人を殺す可能性も皆無に近いのでないでしょうか。だからといって、E又はFの殺人行為は一身専属的行為であり、E又はFの相続人は損害賠償債務を相続しないというという結論にはなりません。したがって、「なりうる」と言うことは、一身専属性を決定づける要素ではありません。

>もしも、今後、EとFが裁判手続きを承継することになるのであれば、どのような点が争点となってくるのでしょうか?

 具体的な訴訟の内容が分からないので何とも言えませんが、代表取締役への監視義務を怠ったかどうか、仮に怠ったとしても損害の発生との間に因果関係があるかどうかが争点になると思います。あるいは、そもそも代表取締役の行為自身も義務違反となる行為と言えるかどうかも争いになるでしょう。経営というのはリスクがつきものです。経営に失敗したからといって、直ちに取締役に賠償責任があるとすれば、経営陣は萎縮して、会社を発展させるためには必要であろう多少冒険的な経営も全くできなくなってしまいます。ですから、取締役に要求される注意義務を果たしていれば、結果的に会社又は第三者に損害を与えたとしても、賠償責任はありません。もちろん、経営能力の不足を理由に取締役を解任されることはあるかもしれませんが。

>また、B・C・Dは自分たちがAによる半ば脅迫的な経営トップの意思決定に従わざるを得ず、意思決定が正常なる状況下で行えなかったがために自分たちに経営責任は発生しないと主張していくことになるのでしょうか?

 具体的な状況が分かりませんし、お父様の名誉を傷つける目的もありませんので、あくまで一般論(法律論)として聞いてください。
 代表取締役ではない取締役がなすべき職務の中心となるのが、取締役会を通じて、他の取締役、特に代表取締役を監視することです。監視するのですから、代表取締役と意見が衝突することがあるのは当然ですし、場合によっては、そうすることが期待されます。確かにオーナー社長だと言いづらいと思いますが、それができない人は、そもそも取締役に就任することを拒否すべきですし(従業員のままでいることも可能。)、なったとしても辞任すべきです。もちろん、取締役も、自分や家族の生活を抱えているでしょうから、単なる理想論かもしれませんが、第三者から見れば、それは取締役の個人的な事情ですし、厳しい言い方をすれば自己保身であることには変わりがありません。
 以上の議論は、会社又は第三者に対する取締役の責任について妥当します。取締役が会社又は第三者に損害の賠償をした場合、他の責任のある取締役に求償することは妨げられませんし、取締役間の求償における内部的な負担割合は、取締役の責任の軽重に応じます。
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この回答へのお礼

どうもありがとうございました。

今後は、訴訟代理人やC・Dとコンタクトを取っていくことがベターなのでしょうか?

訴訟内容としては、取締役会において増資決議をしたが、結果として倒産してしまい、この増資に応じた人から損害賠償請求訴訟を起こされているのです。被告側は、増資決議は経営判断より間違っていないと反論しております一方、原告側は無理な増資を行ったと主張しております。

この被告はA・B・C・Dであり、前述させていただいた通り、Aは個人で訴訟代理人を、B・C・Dは共同して訴訟代理人を選任しております。

仮に原告側の主張が認められたならば、A・B・C・Dの賠償額は同額になるのでしょうか?それとも、状況を考慮し、それぞれの賠償金額は異なってくるのでしょうか?また、これを不服として控訴するならば、以降はそれぞれ個人として控訴するか、再度共同して控訴するか、ということになってくるのでしょうか?

下記相続状況において補足させていただきますと、家裁にEとGとHの放棄手続きを取っていないので単純承認とみなされますね・・

お礼日時:2008/02/21 16:06

おはようございます。



>Bの死亡より、約1年が過ぎようとしておりますが、裁判所や原告から>EとFに何のアクションもないということは、承継の問題が訴訟代理人
>の存在によって発生していないから、ということなのでしょうか?こ
>の件に関しては、訴訟代理人からも何一つアクションがありません。

中断と承継の言葉を使い分けますね。
中断=当事者について承継が発生し、中断。
承継=当事者について承継が発生し、中断していない。

何らのアクションもないのは、
当事者の表示は弁論終結時までになされれば良いものなので、
訴訟代理人が付いており中断となっていないからということも
考えられます。

また、被告Bの死亡から、E及びFが単純相続をするまで
どのぐらいの期間があったのか分かりませんが、
被相続人の遺産の相続については、一般的に
相続人による相続放棄もできますし、
相続人間での遺産分割 などもできますよね。

E及びFが被告Bの地位を引継ぐことが、
対外的に確定的になったのはいつですか?
確定的になってからどのぐらい期間が経過していまか?

訴訟代理人に、裁判の進行についてご質問されてみましたか?
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この回答へのお礼

こんにちは。

Bは19年3月に死去しておりますので、対外的に単純相続したことになるのは19年6月末あたりになるかと思われます。

また、Bには妻Eと子F・G・Hがおり、不動産の名義変更等を含め、実質的に相続しているのはFとなります。預貯金はFよりEに家族全員の生活費として預託してあります。

Eの財産増加はEが受取人であった保険金のみです。GとHは相続しておりません。

おそらく、相続状況を考えれば、この裁判手続きを承継するのはFのみになると思うのですが、いかがでしょうか?

訴訟代理人とは全く連絡を取ってはおりません。

お礼日時:2008/02/21 13:22

1について


一審専属的なものには当たらないと思います。

損害賠償請求訴訟ということですので、
被告ら(A、B、C、D)が、故意若しくは過失により、
原告の何らかの権利を侵害し、その結果、
原告に損害を与えたので金銭賠償せよ、とのことですよね。

このような損害賠償義務(金銭債務)は、
一審専属的なものには当たらないと思います。
したがって、Bの死亡後、
妻子であるE及びFが被相続人Bの遺産を単純相続した場合、
E及びFは本件の損害賠償義務についても相続することになると
思います。

Bに対する裁判手続きについてですが、
Bの損害賠償義務を承継すべき相続人として、
E及びFが本件裁判の被告Bの地位を承継して
(又はE及びFに承継させて)、
裁判が進行することになると思います。
(Bに対する裁判は終了しません)


具体的には、
Bの死亡時、訴訟代理人Zが付いているので、
受継の問題にはなりませんが(民訴法124条2項)、
当事者が変更となるため、
実務としては、
原告から、Bの承継人であるE及びFを被告とする
訴状訂正申立書(当事者の変更申立や、請求の趣旨によっては
請求の趣旨変更も)
又は承継申立がなされるか
あるいは、
被告E及びFから、承継申立
がなされると思います。

その場合、Bについての変更後の新当事者としては
「被告 亡被告B訴訟承継人 E 」
「被告 亡被告B訴訟承継人 F」
の様になると思います。


2について
訴訟代理人を解任することは、訴訟の終了について何の意味もない
と思います。

Bについて生前の訴訟代理人Zが解任された場合
(あるいはZが辞任した場合)、
E及びFがご自身で訴訟対応をしていくことになるだけですね。

仮にBの死亡時にBに訴訟代理人Zが付いていなかった場合、
ア 原告からの受継の申立
  (又は訴状訂正申立書(当事者の変更申立や、請求の趣旨に
よっては請求の趣旨変更も))
又は、
イ E及びFからの受継の申立
又は
ウ 裁判所による続行命令(民訴法129条)

のいずれかがなされるまで裁判は中断したままですが、
ア、イ、ウのいずれかがなされた後、裁判の中断は解消され、
再び実質的な審理ができる状態となると思います。
(Bに対する裁判は終了しません。)


Bの死亡後、E及びFに対する裁判手続きが終わるのは、
和解や判決以外では、
一般的には原告が訴えを取り下げて、
訴訟代理人Z(又は、E及びF)が取り下げに対する同意をした場合
しかないと思います。
(実務では、Zの解任・辞任がない場合、早期に、
裁判所からE及びFの訴訟代理人Zへの委任状の提出を求められる
と思います)
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この回答へのお礼

petra-jor様、ありがとうございます。

Bの死亡より、約1年が過ぎようとしておりますが、裁判所や原告からEとFに何のアクションもないということは、承継の問題が訴訟代理人の存在によって発生していないから、ということなのでしょうか?この件に関しては、訴訟代理人からも何一つアクションがありません。

buttonhole様へのお礼コメント内に、より詳細を記しておりますので、よろしければお知恵をご拝借くださいますようお願い致します。

お礼日時:2008/02/20 03:36

>私も”目的”は金銭を目的とした訴訟であることは把握しておりますが、特別背任という”性質”が一身専属的な性質なのではないかと思うのです。



 取締役の行為が、特別背任(罪)を構成するかどうかと言うのは、刑法上(ここで言う刑法というのは刑罰法規という広い意味です。)の問題です。刑事上の責任が一身専属的であるということと、民事上の責任が一身専属的であることは区別する必要があります。取締役が損害賠償義務を負うのは、特別背任罪にあたる行為をしたからではなく、忠実義務や善管注意義務に違反して、損害を与えたからです。
 それは、売主が売買の目的物を買主に引き渡すのを怠り、それによって買主に損害を与えれば、売主に故意又は過失があるかぎり、売主は買主に対して債務不履行にもとづく損害賠償義務を負うのと何ら違いはありません。
 もし、取締役の注意義務違反による損害賠償責任が一身専属的というのならば、売主の債務不履行による損害賠償責任も一身専属的ということになりませんか。もっと言えば、お金を借りた人が、貸し主に返す義務も一身専属的なものといえることになってしまわないでしょうか。

>Bが死亡し、EとFが承継することになれば、言葉は悪いですが、まさに「死人に口なし裁判」となり、承継したEやFが有する憲法上の”公平に裁判を受ける権利”が害されると思うのですが・・

 確かにEとFは、Bの職務の内容を実際に知る立場にないでしょうから、実際上の防御が困難かもしれませんが、全く不可能とは言えませんし、そもそも立証責任は原告にあるのですから、必ずしも被告の相続人が不利になるわけではありません。
 別の事例を挙げましょう。交通事故の被害者が加害者を相手取って損害賠償請求訴訟を提起したとします。ところが提訴後、加害者が死亡した場合、加害者の妻と子が相続の単純承認をしたとしても、訴訟は終了するのでしょうか。
 御相談者の自説からすれば、自動車の運転をしたのは加害者であって、加害者の相続人ではありませんから、実際に加害者がどのような運転をしていたか知る由のない相続人にとって、裁判での防御は必ずしも容易ではありません。また、自動車の運転という行為は一身専属的な行為(だから、自動車運転免許も相続の対象ではありません。)と言えると思います。そうすると、訴訟が終了することになりますが、果たしてこの結論は妥当でしょうか。
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この回答へのお礼

再度、謝意を申し上げさせていただきます。

刑事責任と民事責任はしっかり別物として捉えなければならないとのご指摘、参考になりました。

具体例の中に、売買契約・金銭貸借契約・交通事故の事例がございますが、これらの事例においては前述EもFも加害者になり得るために一身専属的ではないと私は考えてしまうのですが・・


おそらくお気づきになろうかと思いますが、今回の相談は実例でり、Bは私の父親、Fは私です。
この会社は創業者一族であるAのワンマン経営であり、B・C・Dにおいては忠実義務、善管注意義務を果たそうにも、Aの保身のため・会社存続のためによる圧力(解雇や左遷をチラつかせ)によって、各場面でAに対しYesとしか言えない状況であり、B・C・Dの真の意思決定を社会に対して表面化させることはできなかったようです。この点はBも生前の警察取調調書において供述しており、刑事裁判ではこれらを基に無罪となったようです。

もしも、今後、EとFが裁判手続きを承継することになるのであれば、どのような点が争点となってくるのでしょうか?

原告側に立証責任があるのであれば、原告はAによるワンマン経営ではなく、B・C・Dが正常な心理状態で意思決定を行っていたという事実ではないことを立証しなければならないということなのでしょうか?

また、B・C・Dは自分たちがAによる半ば脅迫的な経営トップの意思決定に従わざるを得ず、意思決定が正常なる状況下で行えなかったがために自分たちに経営責任は発生しないと主張していくことになるのでしょうか?


長々と幾度も申し訳ありません。
私は立派に生きた父親の名誉を守りたいのです。
どうか、お知恵を拝借願います。

お礼日時:2008/02/20 03:25

>1、サラリーマン取締役であったBが死亡した時点で、この訴訟の性質が一身専属的なものであることからEとFは裁判手続きを承継せず、Bに対する裁判手続きは終了すると私は考えるのですがいかがなのでしょうか?



 損害賠償請求権も金銭債権にすぎません。債務者からみれば、損害賠償支払債務という金銭債務ですから、当然、相続人はその債務を承継します。ですから、Bの死亡によっても訴訟は終了せず、EとFは当然に訴訟の承継をすることになります。
 仮に損害賠償請求の訴えではなく、取締役Bの解任の訴えでしたら、Bの死亡により会社と取締役との委任契約は当然に終了しますので、訴訟は終了することになります。
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この回答へのお礼

レスありがとうございます。

通常の金銭債務であれば、buttonholeさんの仰る通りだと思います。
私も”目的”は金銭を目的とした訴訟であることは把握しておりますが、特別背任という”性質”が一身専属的な性質なのではないかと思うのです。

会社組織内で経営陣という立場でなければ、このようにBは訴えられることはなかったでしょう。Bの代わりにEやFがどうこうできたはずがありません。

Bが死亡し、EとFが承継することになれば、言葉は悪いですが、まさに「死人に口なし裁判」となり、承継したEやFが有する憲法上の”公平に裁判を受ける権利”が害されると思うのですが・・

お礼日時:2008/02/19 15:45

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