
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
nikorinさんは、大変深くこの問題を考えていらっしゃると思います。
なぜなら> 任意の2つの実数(の表現)が与えられたときに、それらが同じものか否かをどうやって判断するんだろう?
まさに、これがポイントだと思います。そして答えは、実数の定義そのものにあります。
実数の定義の仕方には幾つか方法がありますが、歴史的に最初にきちんと実数を定義したデデキントの「切断」というやり方だと以下のようです。
初めに「桁数が有限の小数」というのは有理数に他ならない。0.123とは 123/1000の略記法と考えても同じ。この事を思い出しておきます。(後で使います。)
[1] まず、有理数(つまり分数で表される数)の集合をQとします。Qの各要素(つまり有理数)同士の間には大小関係が成り立ちますね。この大小関係を使って、有理数を適当に二つの集合SとGに分けます。ただし
(1) S∪G = Q (どの有理数qもSかGのどちらかに分ける。余らせてはいけない。ここに"∪"は集合の和です。)
(2) S∩G = φ (SとGの両方に含まれる要素はない。∩は集合の共通部分、φは空っぽの集合です。)
(3) Sのどの要素sについても「どんなg ∈G を持ってきても、s < g である。」が成り立つ。従って、Gのどの要素gについても「どんなs ∈S を持ってきても、s < g である。」が成り立つ。
(s ∈Sとは、sがSの要素である、という意味です。)
という風になっていなくてはなりません。(この分け方を「切断」と言います)
S = Q - G, G = Q - S であることは自明と思います。(このマイナスは集合の引き算です。つまり、"Q-G"とは、「Qの要素のうちGに含まれない要素」を集めた集合という意味ですね。)
*以下で、
M(q) = 「qを越えるあらゆる有理数の集合」
m(q) = 「q未満のあらゆる有理数の集合」
という記号を使うことにします。(M(q), m(q)はqを含みません。)
qが有理数なら、Q = M(q) ∪{q}∪m(q) です。({q}は要素を1個だけ持つ集合で、その要素がqです。)
[2] 切断の分類
切断、すなわち(1)(2)(3)のルールによる分け方をすると、
(a) Sには最大の要素sがあり、Gには最小の要素gがある。---×
(b) Sには最大の要素はなく、Gには最小の要素gがある。
(c) Sには最大の要素sがあり、Gには最小の要素はない。
(d) Sには最大の要素はなく、Gには最小の要素はない。
の4通りのケースが考えられます。
しかし
・(a)のケース。
このケースが生じることはありません。もし(a)が成り立つとすると、二つの有理数s<gの間には(s+g)/2という別の有理数があり、これがSにもGにも含まれないことになって、(1)に違反するからです。
・(b)のケース。
Gの最小の要素をgとするとき S=m(g), G = Q-S = M(g)∪(g}, という事です。
・(c)のケース。
Sの最大の要素をsとするとき G=M(s), S = Q-G = m(s)∪(s} という事です。
・(d)のケース。
G=M(#), S=m(#)。この"#"の所に入るのが実は「無理数」です。詳しくは後で説明します。
さて(c)の場合において、Sの最大の要素sをGに引っ越しさせますと、(b)の状態になります。引っ越ししたsがGの最小の要素になるわけですね。この手直しを行えば、
(b) Sには最大の要素はなく、Gには最小の要素gがある。
(d) Sには最大の要素はなく、Gには最小の要素はない。
のどちらかの場合になるようにできます。(以下、(c)のケースは使いません。)
[3] いよいよ実数の定義です。
●『このように分けたSの事を実数と言います。』
(なんですと? とリアクションしてくださいね。)
Sを決めればG=Q-S(QからSを除いた残り)と決まってしまうので、Sだけ指定すれば十分です。(以下、実数として見たときのSを[S]と書いて、区別しやすくします。)
この[S]の値は、
どのSの要素sについても、s<[S]であり、しかも、
どのGの要素gについても、[S]≦g 。
と定義します。
だから
(b)の場合、実数[S]はGの最小の要素gと同じです。つまり有理数です。
(d)の場合、実数[S]は、どのSの要素よりも大きく、どのGの要素よりも小さい無理数です。
すなわち、[S]の値は(b)の場合はSの中に具体的に含まれている有理数ですが、一方(d)の場合には「2つの有理数の集合S,Gで挟まれた値」として表されています。
例を見てみましょう。
(例1)上記の(b)の場合、[S] = 1であるというのは、
S=m(1) , G=M(1)∪{1} ということです。すなわち(有限小数が有理数であることを思い出して)
Sが例えば0, 0.9, 0.99, 0.999,.....を含んでいて、
Gは例えば1, 1.1, 1.01, 1.001, .... を含んでいる、という意味です。
(例2)上記の(d)の場合、[S] = √2であるというのは、
S = m(√2), G=M(√2)ということです。すなわち
Sが例えば1, 1.4, 1.41, 1.414, 1.4142, 1.41421 .....を含んでいて、
Gが例えば2, 1.5, 1.42, 1.415, 1.4143, 1.41422..... を含んでいる、という意味です。
[4]無限小数と1=0.999....
●1.41421356.... という無限小数は
S=m(1)∪m(1.4)∪m(1.41)∪m(1.414)∪m(1.4142)∪.....
という無限個の集合の和を表す、という表現なんです。
●0.999...という無限小数も
S=m(0.9)∪m(0.99)∪m(0.999)∪m(0.9999)∪.....
という無限個の集合の和を表している。
"0."の後ろに幾つ"9"が並んでいても、その個数が有限であれば全部Sに入ってしまいます。そしてSには最大の要素はない。
一方G(=QからSを取り除けたもの)の方には1が含まれます。だって、m(0.9),m(0.99),m(0.999),m(0.9999),.....のどれも1を含んでいませんから。またGは1よりも小さい有理数を含んでいないことも明らか。
従って、G=M(1)∪{1}ですね。だからS = Q - G = m(1)です。確かに(b)のケースになっています。
以上から、
S = m(1)
ですから(例1)によって、
[S] = 1
になります。
[5]まとめ
0.9999...... は無限個の集合の和という表現。1は有理数を使った表現。しかしてその実体は、無限個の有理数の集合Sです。
実体がある。だから、
『表現によらず、同じなのか違うのか、きちんと判断できる。』
これが「実数を定義した」という事、その本質です。
[*]ついでに
「無限大」は数ではないから、わり算しちゃいけません。「無限大」とは「無限大であるという性質」であって、しかも普通の数はこの性質を持ちません。(超限順序数の理論や、超限解析学では、数の概念を拡張した「数’」が出てきて、その中には「無限大であるという性質」を持つ「数’」も現れます。両者の数’の概念は全く別物ですが。)
またゲーデルの不完全性定理は無限について学ぶには最適とは思いません。
じっくり読ませていただきました。
デデキントの「切断」の概念はちょっと聞きかじったことはあるものの
ちゃんと考えたことはありませんでした。こういうふうに使うんですね。
実数の実体は集合だというのは驚きです。実数は数直線状の「点」というイメージを持っていましたから。
まさに「なんですと?」です。(^^;
なるほど、たしかにSには0.99..は含まれないしGの最小の要素は1ですね。
2つの表現を見ると実数というのは、「点」というより微小な広がりをもった
もの(実体は1つなのに!)のようにも感じますが、(あくまでイメージですが)
これは行き過ぎでしょうか?
実数の定義の仕方には幾つか方法があるとのこと。これについては調べてみたいと思います。
ありがとうございました。
No.12
- 回答日時:
> 実数というのは、「点」というより微小な広がりをもった もの(実体は1つなのに!)のようにも感じます
実数についてよく分かってから、という条件付きですけど、超準解析学にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
> 超限解析学では数の概念を拡張した「数’」が出てきて、その中には「無限大であるという性質」を持つ「数’」も現れます。
なぜこのように数の概念を拡張するかというと「無限小であるという性質」を持つ「数’」(もちろん無限個あります)を導入することによって、「極限」というプロセスなしに微分が定義できるようになるからです。超限解析の「数’」の世界では、「無限大という性質を持つ数’」Lの逆数ε=1/Lが定義され、εは「無限小という性質を持つ数’」です。実数x(これは普通の数)にεを加えたものも「数’」(x + ε)であり、(x + ε)≠ x です。それで、実数xの周りに(x + ε)がまとわりついているようなイメージになります。これをモナドと言う。
なお超限解析を学ぶには、集合論と一階述語論理の基礎的知識が必要です。
「超準解析学」ですか。記憶しておきます。
とりあえず実数とはなんぞや?を追求してみたいとおもいます。
いろいろと教えていただき、ありがとうございました。
No.11
- 回答日時:
stomachmanです。
回答No.95483の[4]において、
S=m(0.9)∪m(0.99)∪m(0.999)∪.....
の時に、
> またGは1よりも小さい有理数を含んでいないことも明らか。
と書いちゃったのを反省してます。そこで補足。
仮に(1-a )∈G, (aは1>a>0の有理数)だったとしましょう。
このaは有理数ですから、0でない自然数p,qを使って
a = p/q
と書ける筈です。1≦p<qですね。qは自然数ですから、
q < 10^n
となる適当な自然数nを選ぶことができます。そして
p/q = (p×(10^n))/(q×(10^n))≧ (10^n)/(q×(10^n))>1/(10^n)
ですから、
1-a = 1-p/q < 1-1/(10^n)
従って、(1-a )∈Gであるならば
(1-1/(10^n))∈G
です。
小数で書くと(1-1/(10^n))は0.999......9 (9がn個)ですね。これは
S=m(0.9)∪m(0.99)∪.....
の中のn項目に現れ、従って、
(1-a )∈m(0.999...9) (9がn個)
です。
だから、(1-a )∈Sと(1-a)∈Gが共に成り立つことになります。これは違反です。
そういうわけで、Gは1未満の有理数は含んでいないんです。
No.8
- 回答日時:
詳しい説明は出来ませんが、他の皆さんと切り口の違う考えを紹介しましょう。
デジタルの時計で考えると11時59分59秒か12時00分00秒かどちらがジャスト12時か?どちらも最大0.9999.....秒の誤差があり得ます。
11時59分59秒を過ぎていると言う事は12時までは1秒未満のはずだし、12時00分01秒になるまでは、12時00分00秒だからです。
ですので、時計や重量計などでは1=0.9999.....になります。(ちょっと強引か?)
主旨から外れますが、これがもしお金だったらどうでしょう?
100円はジャスト100であり、決して99.9999.....円ではないと思うのですが(笑)
この回答への補足
確かに時計や重量計の読み取りではそのような捉えかたでもよいか思います。
ですが、ここでは現実の世界とは切り離した、純粋に数学のお話として考えていただきたいと思います。

No.7
- 回答日時:
そもそも 0.99999… という書き方自体が「極限」だと思うので、これが厳密に 1 と等しいというのは、極限が厳密に1に収束するということと同じなのではないでしょうか。
「…」というのは「この操作を無限に続ける」というのの省略形なのですから、極限でしか議論できないのではないでしょうか。この回答への補足
極限に見えちゃうんですよね。
でも、極限が1に近づくことと、値そのものが1であることとは違いますよね。
f(x)=(x^2-4)/(x-2) は x=2 で値を持ちませんが、
lim f(x)=4
x->2
というのと同様に。
ですが、0.99.. と 1 は「極限としてではなく」同じ値らしいのです。
No.6
- 回答日時:
「実数」の範囲に「無限」が含まれないとしても、"0.99999....."の小数点以下の桁数として「無限」が入ってきた段階で、「実数」とは別の概念で考えなければならないのではないでしょうか。
「実数の一意的な表現」といっても、"1"も"1/1"も同じ実数ですよね。実数を拡張した複素数の概念でなら"1+i0"を扱える。それと同じで"1-(1/∞)"という数字があり、値としては"1"と同じになるという考えはどうでしょう。
この回答への補足
0.9999..のように9が無限に続いている様子と無限大そのものとは違うと思います。
私の言っている「実数の一意的な表現」はたとえば10進数での表現であって
1=2/2=10/10 とかいうことではありません。
No.5
- 回答日時:
この問題は10進数とか8進数というところではなく,「無限」というところに本質があります.
#8進数では 1=0.777777...は本当? という質問になるだけです.
0.9999.....(数学では0.9(この9の上に点をつけて,無限の繰り返しを表します)は 1から(1/無限大)を引いた値 と同じになります.
1/無限大=0ですので 1=0.99999... という説明もあります.
#1/無限大=0が直観的にわからないと言われそうですが・・・・
無限大という概念には直観とは食い違う部分がたくさんあります.
無限大+無限大=無限大
無限大×100=無限大
無限大×無限大=無限大 など.
直観的には「あれ?」と思いますが,ちゃんと証明されています.
実数が連続でない場合,例えば実数を小数点以下5桁までと仮定すると1≠0.99999ですが,実数は「無限」に続く小数ですから(0.5は0.5000...と0が無限に続く小数と見ることができる),その一番下の桁(って,無限に続いているわけですから実際にはないわけですが)が1だけ小さい数が0.999....です.では,その一番下の桁が1という数は1/無限大となります.
結局,1/無限大=0に帰着します.
無限大についてわかりやすく書かれた本に
講談社 ブルーバックス
ゲーデル・不完全性定理 吉永良正著
があります.
この回答への補足
「1/無限大=0」というのがどうも引っかかります。
"無限大"という元は実数には含まれていないのでは...?
これは極限操作を使っていませんか?
lim (1/x)=0
x->∞ (無限大)
はわかりますし、
0.9 0.99 0.999 .... という数列が極限値として1に収束する
というのもわかります。
極限として等しいのではなくて厳密に等しくなるのはどうして?というのが
私の質問です。
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