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光が強く屈折されるのはその物質の中で光の速度が遅くなる為という説明がありますが、どういうときに光は遅くなるのでしょうか。逆に速くさせる物質はないのでしょうか。

A 回答 (3件)

もう答えは出てるのかもしれませんが…



まず確認ですが、話の筋道は
1.物質は固有の誘電率ε(分極のでき易さ)を持つ。
2.自然界に存在する物質の透磁率μ(磁化のでき易さ)はどの物質でも真空中の透磁率μ0と同じ(μ=μ0)。
3.物質中の光速vは物質の誘電率と透磁率で決まる(v=1/√(εμ))。
4.屈折という現象は異なる物質中での光速の変化によって起こる。
です。

どういうときに光は遅くなるか、ですが、一言で言うと誘電率が小さい物質から大きい物質へ光が入射するときに遅くなります。真空の誘電率ε0と比較して誘電率εを表すと、たとえば空気は1×ε0で水は1.8×ε0です(空気ではほとんど分極が起こらず、水では分極ができ易いわけです)。したがってそれぞれの物質中での光速は
v(空気)=1/√(ε(空気)μ0)=1/√(1×ε0×μ0)
v(水)=1/√(ε(水)μ0)=1/√(1.8×ε0×μ0)
ここで真空中の光速は
c=1/√(ε0μ0)=30万km/s
なので物質中の光速は
v(空気)=(1/√1)×c=c=30万km/s
v(水)=(1/√1.8)×c=0.75c=22万km/s
したがって光が空気から水に入射するとき、光は遅くなります。もちろん逆に水から空気に入射すると、光は速くなります。

なお
v(空気)=(1/√(ε(空気)/ε0))×c=(1/√εr(空気))×c
v(水)=(1/√(ε(水)/ε0))×c=(1/√εr(水))×c
と表されますが、ここで出てきたεr=ε/ε0をそれぞれの物質の比誘電率と呼びます。εr(空気)=1、εr(水)=1.8です。

屈折はこの光速の変化に起因しますが、その程度(=屈折率)nは真空中での光速cおよび物質中での光速vとn=c/v=√εrの関係にあります。つまり
n(空気)=c/c=1
n(水)=c/0.75c=1.3
これは真空からそれぞれの物質へ光が入射した場合の屈折率を表しており絶対屈折率とも呼びます。これに対し上記の空気から水へ光が入射した場合の屈折率を相対屈折率と呼びます。

さて比誘電率εrですが、これは物質の種類に依存するだけでなく、光の種類にも依存します。つまり光(電磁波)の振動数ωに依存します。極端な場合として静電場による誘電率(ω=0の場合)は、たとえば水ではεr(水,ω=0)=80と測定されており、可視光などの場合のεr(水,可視光)=1.8と大きく異なります。一方、X線の場合(ωが可視光よりずっと大きい場合)はεr(水,X線)=0.998<1となっています。屈折率で言うと、n(水,可視光)=1.3、n(水,X線)=0.999<1です。しばしば「1より小さい屈折率をもつ物質は存在しない」と言われます(たとえばWikipedia)が、光の種類(電磁波の振動数)によってはこれは正しくありません。

さらにNo.1さんが紹介しておられるのは0より小さい屈折率、すなわち比誘電率で表すと虚数の物質です。興味深い話ですね。
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この回答へのお礼

ご懇切にご説明いただきありがとうございます。勉強させていただきます。

お礼日時:2007/07/29 06:47

従来では屈折率n=√ε(εは比誘電率)とあらわせε>1よりn>1となっていたのですが、負の屈折率の存在するとは。

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この回答へのお礼

御回答ありがとうございます。私の当初の疑問ではなかったのですが、反射のようなイメージを持ちました。

お礼日時:2007/07/28 10:42

負の屈折率を持つ物体と言うのは存在します。


ただし、狭い範囲の周波数についてだけです。
http://okwave.jp/kotaeru_reply.php3?q=3205956
http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/ma …
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この回答へのお礼

興味深いお話でした。どうもありがとうございました。

お礼日時:2007/07/28 10:39

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