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安土桃山時代に金吾カルタというものがあったそうですが、これは金吾中納言と関係があるのか、また天正カルタとどう違うのか、ご存知の方いらっしゃいませんか?

A 回答 (2件)

キンゴカルタとはキンゴというカードゲームを遊ぶための40枚一組のカード(カルタ)のことで、キンゴ札とでも言った方が分かり易いかもしれませんね。

おいちょ株というゲームをする40枚一組の専用札「かぶ札」というものが存在しますが、似たような関係です。もちろん、花札やトランプから何枚か抜いて40枚にして遊ぶこともありますので、必ずしもキンゴ札がなければキンゴを遊べないというわけでもありません。

そして、キンゴの字は金吾ではなく、「五」という字を三つ組み合わせた字で、これをキンゴと読ませていたそうです(森の字の「木」を「五」と置き換えると、キンゴの字になります)。キンゴの語源はスペイン語の5(Cinco)と関係があるだろうというようなことを松田道弘さんが書いています。ですから金吾中納言こと小早川秀秋とはおよそ無縁であろうと思われます(金吾の語源は漢代の中国の役人、執金吾というのが一般的です。秀秋は木下家定の「五」男であったので、スペイン語に通じた誰かがCincoというあだ名をつけた…などという説は聞いたことがありません)。

松田道弘さんがキンゴがCincoだと考えた理由は、キンゴのゲーム内容が「五(Cinco)」と大いに関係があるからです。おいちょ株は「八」「九」が重要なゲームですが、スペイン語で八をオイチョウ、九をカブということを知れば、なるほどそういう意味か、と分かります。キンゴについても、そのように理解されたのだと思います。日本にトランプ(カルタ、カード)をもたらしたのはスペイン、ポルトガル人です。戦国~江戸初期のゲームを調べるとほとんどスペイン・ポルトガルが起源で、用語もそちらの言葉が多いに残っています。

さて、天正カルタですが、これは当時ポルトガルで標準的に使われていた48枚一組のトランプの日本版です。特定のゲームを遊ぶ専用札ではありませんし、キンゴカルタとは枚数も違います。その意味では別物です。しかし、もともと天正カルタから八枚抜いてキンゴを遊んでいたのだろうと思われます。おいちょ株が、専用のかぶ札ではなくトランプや花札で遊ばれることがあるように、です。そのうち、賭博師たちが本腰をあげたとき、専用のキンゴカルタができたのではないでしょうか。つまり、キンゴカルタも元は天正カルタの一バージョンであった、ということです。ですから、無関係ではなく、兄弟のような関係ということになります。

ただし、天正カルタが日本に入ってくる前に、スペインで既にキンゴの原型になるゲームが大流行しており、そのゲーム専用札が既に出来上がっていたという可能性もあります。そうなると、天正カルタとキンゴカルタは多少の前後はあるでしょうが、ほぼ平行して日本に入ってきたことになり、キンゴカルタが天正カルタの一バージョンであるということは言えなくなります。しかしが、キンゴカルタの元と天正カルタの元が兄弟のような関係であったということで、これも大いに関係がある、と言えるかと思います。

参考文献:「トランプものがたり」岩波新書 pp42-45
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この回答へのお礼

詳しくご説明いただきまして、お礼申しあげます。
ネットで検索しても判明せず、諦めかけておりました。岩波新書とはね。ありがとうございました。

お礼日時:2006/09/02 18:21

No.1さんの答えは詳しいですね。

   河出文庫「お江戸街めぐり」の江戸の賭博の項にちょっと触れていたので、紹介します。
カルタ賭博のカルタは欧州から入ったものですが、すでに、慶長、元和の頃には、ウンスンカルタ、天正カルタ、三池カルタ、等の外国カルタを真似たものがあり、「めくりカルタ」すなわち「よみカルタ」や「キンゴカルタ」「カブカルタ」「京カブ」「手本引」等のやり方もあり、「花カルタ」が寛政頃出来、文化、文政頃よりもっぱら流行して、現代に及んでいます。  
「花カルタ」は花札でしょう。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
参考になります。

お礼日時:2006/09/03 13:16

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