プロが教えるわが家の防犯対策術!

ドイツに行って以来、クラシックに目覚めました。
いろいろ好きな作曲家などもできました。ところが、基本的なところがわかりません。CDショップで、ジャンル分けがされていますが、管弦楽曲、交響曲、協奏曲などの違いがよくわかりません。その他のジャンルの違いも含めて、わかりやすく教えてください。

A 回答 (3件)

うーん、確かに難しいですね。



交響曲というジャンルはハイドンによって確立され、ベートーヴェンによって形式が完成されました。彼らの交響曲を聴けばその土台がわかると思います。基本的に作曲者が「交響曲」と付けていれば交響曲のジャンルに入るのですが、ラロの「スペイン交響曲」のように、ヴァイオリン協奏曲に「交響曲」の名が冠されていて、CDショップでは協奏曲の棚に置かれているものもあれば、ダンディの「フランスの山人の歌による交響曲」というのは、ピアノ独奏が華々しく用いられているにもかかわらず、協奏曲ではなくて交響曲のジャンルに含まれています。これらは例外として考えた方がよいです。また、リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲のように単一楽章の交響曲というのも、次第に作曲されるようになったので、明確な基準というのはありません。また、カンタータ(声楽曲)として扱うか交響曲として扱うかで紛糾している作品(マーラー「大地の歌」)もあり、明確な線引きはなされていないのが現状です。

協奏曲というジャンルは、ソロで楽器を演奏する人(ソリスト)と、オーケストラが、文字どおり協力して(競うのではなく)演奏するタイプの曲です。しかし、声楽協奏曲というタイプのものは声楽曲の方に行ってしまいます。これにも例外があって、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」というものがあります。このように、オーケストラの内部でソロパートを担当する人が変わるというケースもあります。もちろん、「2台のピアノのための協奏曲」「フルートとハープのための協奏曲」のように、楽器は1種類とは限りません。基本的にソリストが演奏するパートは技巧的なものが多いようになっています。その他の例外としては、プロコフィエフの「交響的変奏曲」は、そのソロパートが技巧的であること、また、最初の構想が協奏曲であったために、協奏曲として扱われています。ラフマニノフの「パガニーニ狂詩曲」も協奏曲に入ったりするので、曲の題名よりも、内容でソリストが技巧的なことをしているかどうかによるのだと言えます。なお、ヴィヴァルディの「四季」も協奏曲と呼ばれますが、これは合奏協奏曲というものです。普通CDショップでは、「バロック・古楽」のジャンルに分けられています。

管弦楽曲というのは、管弦楽で演奏される、「交響曲でも協奏曲でもない」作品ということになります。例えば、舞曲(ワルツやらボレロやら)、交響詩(描写によって物を音楽で表現しようとしたもの)、組曲(オペラからの抜粋や純粋に組曲にしたもの)、序曲・前奏曲・間奏曲(オペラから独立したもの)などがあります。例えば、リムスキー・コルサコフの「シェエラザード」は、交響組曲であり、交響曲ではありません。また、ヴァイオリンの独奏が重要な位置を占めますが、協奏曲にも扱われません。コダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」のように、ツィンバロンという民族楽器を使った難しい部分がある曲でも、全体としては組曲であり、ツィンバロンの登場しない曲もあるという事情から、管弦楽曲になるものもあります。

室内楽曲はおわかりかと思いますが、コンサートホールほど大きな場所を必要としない、室内でできる曲です。ピアノ伴奏をつけたソナタ、弦楽四重奏曲などがこれに当たります。ピアノの独奏や連弾、無伴奏チェロ組曲などもこれに含めてもよいですが、CDショップによっては分けている場合もあります。

古楽・バロックは、ヴィヴァルディだのバッハだのを思い浮かべるとわかる通り、ハイドンやモーツァルトが出てから変革される以前のものです。ヘンデルの組曲「水上の音楽」なども組曲であり、管弦楽曲であると言えますが、大抵の店ではこちらのジャンルに含まれていることが多いです。

現代音楽は、なんとも言えません。いつから現代なのかが曖昧なのです。調性が崩壊した頃から、という見方で、シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルンのような新ウィーン楽派をここに入れているものもありますが、それより後の時代のストラヴィンスキーや、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチは現代音楽に入っていません。また、山田耕作の作曲と武満徹の作曲を同時に現代音楽と位置づけるのには若干疑問があります。この辺は、「誰でもすんなり聴けるとは限らないですが、聴きやすい宝のような曲も混ざっていますよ」としか言えません。

声楽曲は歌ものということでおわかりいただけると思います。特に、合唱曲を分けて取り扱っているケースもあります。なお、オペラなどはまた別個のジャンルです。このへんで難しいのは、声楽が入っていても交響曲(第九)、協奏曲(ブゾーニのピアノ協奏曲)、管弦楽曲(ホルスト「惑星」)などがあるということですが、基本的に、メインが声楽であるということが大事なのだと言えると思います。
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この回答へのお礼

素早い対応感動します。
CDショップでも、新しい見かたができます。
ありがとうございます。

お礼日時:2002/02/25 10:21

簡単に説明しますと、交響曲は作曲者が「Symphony」と書いてしまえばどんな形式であろうと「交響曲」なのです。


基本的にはみんさんの仰っているようなソナタ形式云々という制約があるものもありますが、実際、現代の交響曲は自由なものが多いです。協奏曲にも言えますが、交響曲との違いはソリストがいる点です。ただ、ベルリオーズの「イタリアのハロルド」などはビオラのソロがありながら一応交響曲の分野に入っています。また、曖昧なもので協
奏交響曲なんて分野もあります。ハイドンやモーツアルトが書いていますが、同様に協奏曲でありながら交響曲でもあるという曖昧な存在です。
一番曖昧なのは「管弦楽曲」です。一応オーケストラで演奏されるものは全てこの分野に入るのですが、合唱曲ではなく、「交響曲」「協奏曲」でないその他の曲を一般にさします。
バレエ音楽、歌劇の序曲・前奏曲・間奏曲、交響詩、管弦楽組曲、ワルツ、行進曲などなどいろいろあります。
他に室内楽曲という分野は文字通り室内向けの小さな編成の曲がメインです。たとえば、弦楽四重奏曲など。
器楽曲は殆どが一人か二人で演奏する曲で、ピアノの演奏なんかはここに入ります。
声楽曲は文字通り人の声による作品がメインですが、オペラなどは別に分類することもあります。
音楽史はバッハ以前(ヴィヴァルディを除く)の曲をメインにしています。グレゴリオ聖歌などはここに分類されます。
現代曲は20世紀後半の曲はメインですが、作曲家によって入れる人とそうでない人とに分けられています。どちらかというと作風によって(前衛的なもの)分けられます。
まあ、大体こんなもんです。
はっきりとした境界線はないので曖昧な作品はあります。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
こんな質問は、クラシックに精通している方には簡単なものだと思っていましたが、結構ややこしいものだったのですね。助かります。また、よろしくお願いします。

お礼日時:2002/02/25 10:18

 数多い例外が存在することを承知の上で、あくまでも本当に基本的な要素の御説明から入ります。



 交響曲は特定の用途やテーマによることなく、純粋に聴くための音楽です(書いていながら例外ばかり頭に浮かんできますが)。ハイドンによって一応完成された様式から言うと、ソナタ形式という主題(テーマメロディ)とその展開から再現と流れる一連の音楽を一楽章とし、これに本来は踊りのための音楽であるメヌエットやスケルツォを加え、メリハリを付けるために速い楽章と緩やかな楽章を組み合わせて一つの曲としています。ハイドンが一応完成させたドイツスタイルの交響曲(ベートーヴェンや晩年のモーツァルトなどが基本)では第1楽章に速いソナタ形式、第2楽章に緩やかな音楽(ソナタの場合もあり、もっと単純にメロディの繰り返しだったりする)、第3楽章で舞曲(踊り)、第4楽章にまた速いソナタ形式を持ってくる、もしくはロンド形式、という何種類かの部分を組み合わせた形式(ABACABAがもっとも基本-A・B・Cそれぞれが一つの部分)で構成されています。

 協奏曲とは一人、もしくは複数の独奏楽器とオーケストラが文字通り協演するための音楽です。多いのはピアノ、ヴァイオリン独奏ですね。
 こちらは独奏者の演奏の美しさ、技術を聴いてもらうのが主眼なので、オーケストラは控えめなケースが多くなっています。
 こちらは3楽章形式が基本と言え、第1楽章がソナタ形式で、曲全体の中でかなり長いこと(全曲の半分以上)も多くなっています。第2楽章は通例緩やかな曲、第3楽章には先程書いたロンド形式を使うことが多いです。

 管弦楽曲というのはそれ以外のオーケストラ用の曲全てをさすため、これと言った定義はありません。中でも多いのはバレエ音楽、交響詩などでしょうか。オペラなどの序曲だけを集めたものもこのジャンルに入れていることが多いようです。

 それ以外にも、歌手の唄(独奏もあり合唱もあり)をメインに伴奏として何かの楽器(ピアノが多し)、オーケストラが演奏する曲は声楽曲という範疇に入ってきます。独唱(一人が歌う)の時には歌曲、と呼ぶこともあります。
 これはお解りかとも思いますけれど、多数の歌手(一人もあるにはあります)を使い、ストーリーに従って劇形式になっているものが歌劇(オペラ)です。

 オーケストラ以外では数人の奏者が一緒に演奏するものを室内楽曲、ピアノ曲のように一人で演奏するものを独奏曲と言います。ピアノソナタなどがそうです。
 また、明確な基準があるわけでは無いながら、概ね第二次大戦頃から後の作品や日本人の作曲した作品については現代音楽(現代曲)として独立して置いてある店が多いです。

 最初にも書きましたように、これはかなり膨大な例外を無視してやや乱暴に切り分けたものです。ベートーヴェンの交響曲でも「田園」のようにかなり情景を描いている上に5楽章形式の、しかもさっき書いた形式とは全く違った曲もありますし、第9番のように合唱が入っているものもあります。マーラー頃から後、20世紀になるとこうした形式に則っているものの方が稀、と言える状況になります。
 それではそれぞれの区別をどうつけているか、ということで言うと、これは作曲者がどう名前を付けたか、を尊重するしかありません。「交響曲」と命名されていれば作曲者はこれを交響曲として聴いて欲しい、という意図を持っているわけですから交響曲に入れる、ということです。
 一方交響曲の起源から言えば、もともとは歌劇の序曲から出発し、それを次第に拡大し独立させたものです。序曲の時点では切れ目なしに演奏される急(速い)緩急の三部形式が基本でした。

 こうした曲のスタイルなどは別に意識しなくても充分に楽しめます。逆に形式を意識した上で作曲家の創意工夫についておっ、こんなところでこんなことを、という風に発見して楽しむことも出来ます。
 御自分の嗜好性に合わせて好きに聴かれるのが良いでしょう。まあ、CDショップで曲を探す際には知っていた方が楽かもしれませんね。

 あまりに幅広く且つ奥深いテーマなので、とても書き切れません。
 もし、この内容、別な話でも具体的な疑問etc.お有りでしたら追加でお答えしたいと思います。
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この回答へのお礼

早速のお返事細かいところまで、ありがとうございます。
ますます、深みにはまりそうです。
助かりました。

お礼日時:2002/02/25 10:19

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