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「武田騎馬隊」は有名です。
武田騎馬隊というと、私は黒沢明の映画「影武者」のラストシーンで登場する武田騎馬隊を想像します。

しかし、最近、武田騎馬隊は存在しなかったという説をよく聞きます。
武田騎馬隊どころか、戦国時代には純粋な騎馬隊は存在しなかったと言われています。

調べてみたところ

1、武田軍は騎馬隊の内訳は山県昌景300騎、馬場信春500騎など、主だった武将の騎兵数を合わせても約4000騎、出来うる限り多く見積もっても約6000騎であり、武田軍1万3千人のうち半分ないし2/3は歩兵であると思われる。
従って、中国において元を建国したモンゴル軍や、一の谷の鵯越や屋島の疾駆奇襲でしられる源義経のように、騎兵のみで部隊を構成したという事実はない。
また、武田軍には騎兵の最大の特徴である「機動力」を生かした作戦が見受けられない。
つまり、武田騎馬隊は実質的には騎兵・歩兵混成部隊であると言える。

2、イエズズ会のルイス=フロイスがヨーロッパに書いた『日本覚書』によると、
「われらにおいては、馬(上)で戦う。日本人は戦わねばならぬときには馬から下りる。 われらの馬は非常に美しい。日本のはそれよりずっと劣っている。」 とあります。

3、『甲陽軍鑑』によると
「武田家の大将や役人は、一備え(千名ほど)の中に、7人か8人が馬に乗り、 残りはみな、馬を後に曳かせ、槍をとって攻撃した。(巻6品14)」 とあります。

やはり武田騎馬隊は存在しなかったのでしょうか???

A 回答 (5件)

いつの時代でも馬を常備するのはかなり大変な負担です。


それにモンゴルや近代騎兵部隊のイメージから想像しがちですが、そのような騎馬隊は戦国時代存在しなかったと見るのが妥当だとおもいます。
馬は高価で相当な身分でないと常備できないし、部隊編成上その数も限られていました。

ただ武田家では乗馬歩兵として機動力を利用するシステムは存在していたのではないかと思います。
上杉氏との戦いで敵の侵攻を狼煙により伝達し動員令を待たずに直ちに北に向かい集結するシステムなどは当時の軍編成に時間がかかった事を思えば画期的だったと思います。

モンゴル兵の場合は、各人数頭の乗り換え馬を従え、馬糧の豊富な草原を移動するし、生まれたときから乗馬に鍛錬していたのと、馬上戦が得意でしたから高速で移動し攻撃できましたが都市や城塞を攻撃する場合は歩兵として戦いました。  また征服した土地の住民を歩兵として使用したのです。

騎兵の主任務は敵の側背を急襲、包囲するか敵陣を乱すものでそれにより勝利を誘引する事で、主戦力は歩兵にあります。
日本の戦国時代このような用兵は見あたりません。

日本馬は体格も貧弱で積載重量も少ないので機動戦には不向きでした。
騎兵突撃の衝撃力を期待出来ず、馬の防具も考えていませんでしたから、敵が長槍で防御陣を作れば乗馬突撃は自殺行為でした。
有名な伊達の騎馬鉄砲隊も敵前で停止、銃撃すると後退するもので突撃はしなかったのです。
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他の回答者の回答に付け加える形になります。



武田氏の着到状を見ると、全体の兵力に占める騎馬の割合は、むしろ上杉や北条よりも低いらしいです。その他の資料なども合わせて見るとやはり武田氏の主力は他の大名と同じ長柄足軽です。
ただ他との違いは兜と手甲の装備が指定された言わば重装歩兵で、また鉄砲も重視していたようです。鉄砲隊の火力援護の元に重装の長柄足軽が突撃するというのが武田勢の真の姿だったのかもしれません。
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我々が想像する「騎馬隊」とは、18世紀から19世紀中頃まで欧米の軍隊で必須の戦力と位置づけられていた「重騎兵」のことです。

騎馬兵と馬が鎧を着け、槍を抱えて、密集した横隊の形で敵に突撃するものです。

これは、
1) 後込めの銃が実用化される前で、歩兵の発射速度が遅い。
2) ライフル銃が実用化される前で、小銃の射程が短い。
段階では、今の戦車のような働きをしました。ナポレオン戦争の頃は、重騎兵の突撃を歩兵で撃退することは容易でありませんでした。クリミア戦争では、砲兵の陣地が敵騎兵の突撃で蹂躙されるような戦例もあったはずです。

重騎兵による突撃は、アメリカの南北戦争の頃を境に、歩兵の射撃に対抗できなくなりました。後込め・ライフル銃の普及によるものです。

よって、19世紀後半に発足した日本陸軍の場合、重騎兵はそもそも存在せず、偵察や奇襲を任務とした軽騎兵のみが整備されました。昭和10年ごろには、騎兵部隊は戦車部隊・自動車部隊に移行しました。

実は、戦国時代を扱った、江戸時代前期までくらいに書かれたエンターテインメントとしての戦記物、例えば竹だけのことを書いた「甲陽軍艦」には「武田軍は騎馬軍団であった」なんてことは書いてありません。

武田軍が、19世紀の西洋の騎兵のような騎馬軍団であったとか、戦国時代の合戦が
* 両軍の接触、鉄砲と弓による戦闘
* 長い槍を持った足軽同士による戦闘
* 刀や槍を持った騎馬隊による戦闘
と推移する、といったことは、明治時代以降に言われるようになったことのようです。

その出典は、明治時代以降に陸軍の参謀本部が戦史を各種編纂した際に、上記のようなことが「歴史常識」として定着したようです。

例えば、戦国時代から大阪の陣までの合戦を描いた屏風がたくさん残っています。いずれも、「指揮官が馬に乗り、他の者は徒歩で戦う」様子が描かれています。

多数の騎馬武者が密集して敵に突撃する、なんていう合戦屏風は見たことがないですし、軍記ものの記述でも見たことがありません。
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簡単にいうと、武田家にも騎馬隊は存在しますが


多くの人が想像していた”騎馬隊”のイメージが間違っていたということです。

モンゴル軍だって全員が騎乗兵というわけではなく
その時々で比率に違いはありますが
だいたいどこのどの時代の軍隊でも徒歩の兵隊のほうが
人数は多いのです。一般には1:4以上はあるべきとされます。

馬はデリケートな生き物で、繁殖もそれほど簡単ではありませんし
日々の世話も労力的にも金銭的にも大変ですから
全軍の兵士に馬を与えるなんていう財力はとうていありません。
数千でもきついところですが、万を越えるとほとんど不可能に近いです。
世界の古今の戦史をみても、(片方に)二万以上の騎馬が参加した
戦いはひじょーに少ない。
何しろそれを実現するには飼い葉が物凄い量必要で
しかも軍の移動とともにそれを運搬しなければなりませんし
世話をする非戦闘員も何千名も同行させねばならないわけですから。
それだけで戦闘よりも大事業です。

これは戦史を研究する立場の人にすれば常識だったのですが
騎馬隊という言葉のイメージが先行した結果
騎乗兵だけの部隊という誤解が生じたわけです。

中世の軍隊はどこの国でもたいていそうですが
領地と領民の支配体制と軍事編成は密接な関連があります。
だから騎馬兵が上級武士なわけですから
下級の農民足軽が徒歩になるのは当然です。
それを変えるには常備軍化が必要で
近代的な軍隊でないと、いわゆる騎兵は登場しないわけです。

ただし戦場では馬と人間では戦うスペースが違うので
ごちゃまぜだと戦いづらいので
中世の軍隊も動員された時と、戦場での編成は違います。
軽格の武将の小さい部隊ばかりだと統制もとりにくいので
幾つか有力武将を頭とする士隊と足軽隊にわけます。
そのピースが組み合わせて陣立てをするわけですが
陣形や地形、方針などによって、
ある程度の兵力をもった歩騎混合の隊とするか
それぞれのパーツを直接総大将が動かすかにわかれます。
武田信玄の場合は三方ヶ原の戦いとか見ていると後者のようなので
騎乗兵だけの小部隊もあるということです。

もちろんここでも武田軍が騎馬軍団だというわけではなくて
歩兵と騎兵の混合の武田軍の中の騎兵隊(士隊)ということです。

下馬戦闘については、当然、長槍に正面から
騎馬で突進できるわけがないので、
そういう状況下では下馬するでしょうが
常に下馬していたわけではないでしょう。
川中島にしろ姉川にしろ、騎兵の機動力を用いたと思われる戦いが
いくつもありますし、機動力を活かせる状況下で
下馬する必要性がありません。
アレクサンダー大王の時代から敵の歩兵の
背側面を突くのが騎兵の役割ですから。
日本馬は背丈が低いですが、気が荒く闘争心が強く戦闘向きで
一般的に胴長短足の馬はスピードはないが持久力はあるとされます。

騎馬兵の存在をことさら軽視するのは、
勝手なイメージに騙された反動としても
やや行き過ぎです。
日本の騎乗文化は西洋馬術の普及で断たれてしまいましたが
しっかりしたものがあったのですから。
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武田の騎馬隊というイメージで創造されるのはモンゴル兵や近代の騎兵ですが、これに相当するようなものは武田に限らず戦国には存在しませんでした。


騎馬隊であれば、兵士まで含めた一隊全部が馬に乗っているべきですが、武田軍の中で馬に乗っているのはせいぜい1/10~1/5の幹部クラスだけで、あとはみな徒歩でした。
これでは到底騎馬隊といいうるものではありません。
また、馬に乗っているものたちも戦闘時には馬から下りて戦いました
だいたい、載っているのが日本馬ですから、馬体も小さく体力もないので長くは駆けられませんでした。
これもモンゴル兵や近代の騎兵と違います。
こういうことから言いますと、武田軍に騎馬隊は存在しなかったし、騎馬隊としての戦闘もなかったというのが最近の有力説になっています。
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