No.8ベストアンサー
- 回答日時:
>2番目の吸収は2段階吸収といったほうがよさそうですね。
そういうことです。以前に実験で確認したことがあります。そのときには532nmの光を入れて、T1-T2遷移での632.7nmの吸収が発生するのを確認しましたが、、、色素がなんだったか忘れました。フルオレセインBかエオシンY辺りだったような気がするのですが....(アゾ系だったかも)
>ところで、2光子吸収が起こっている時は、1光子吸収は起こっているのでしょうか?
理論的には1番の二光子吸収ではそもそも吸収がないのでおきえません。
ただ現実の物質は複雑なので必ずしも吸収0とはならないため、起きたりすることはありますけどね。
なるほど。大変よく分かりました。
理論的には一光子、二光子吸収は同時には起こらないのですね。おもしろい現象ですね。
今まで何度も丁寧に説明していただきありがとうございました。
No.7
- 回答日時:
少し補足説明をして整理した方がわかりやすそうなので簡単に追加で補足しておきますね。
1.まず2光子吸収は通常というか元々は、準位が無いところに2つの光子が肩車して上の準位に行くという形です。これは私が既に回答したとおりです。
2.ただそれだけではなく中には励起された色素が新たに吸収帯域をもち更に吸収するという形も二光子吸収と呼んでいる場合があるようです。(個人的にはそれは2光子吸収という言い方はおかしいと思うのですが)
#2,5さんが話しているのはこちらの仕組みの方でしょう。
これは色素にある禁制遷移が関係います。基本の規定状態をS0として励起順位をS1としたとき、S1からT1への遷移が起こり、T1の上位準位のT2遷移への吸収が生まれるというものです。
基本的にS1->T1は禁制遷移のため(パウリの排他律による)直接は遷移できないはずなのですが、この禁制が弱くて生じることがあるのです。色素の中はこれが割と容易な物があります。
S0やS1(シングレットと言います)からT1,T2(トリプレットと言います)へは禁制遷移なので光の吸収で直接S0->T1又はT2、S1->T1又はT2の遷移はおきません。
つまり規定状態(S0)の色素のうちには無かった吸収が発生することになります。
代表的な色素は蛍光や燐光を出すような色素のなかにこのような物があります。
燐光ではこのトリプレット遷移(S1->T1)が起きて更にT1->S0に戻る緩和があり、このときに光を出す物です。そのため時間的に非常に長い時間をかけてT1->S0に遷移するため、夜光蛍光塗料に使われるわけです。
3.色素の劣化について
1番、2番どちらの二光子吸収でも劣化はおきます。そもそも色素が励起されている状態というのは化学的に不安定な活性な状態ですから、他の原子分子と結合したり、別の結合をしてしまう可能性が高いのです。そのため、退色しないようにするのは結構難しい問題です。
特に2番の現象ではT1に遷移してしまった電子がS0に戻るには時間がかかるため、劣化しやすいという話しがあります。
では。
捕捉ありがとうございます。詳しい説明で大変分かりやすかったです。2番目の吸収は2段階吸収といったほうがよさそうですね。
ところで、2光子吸収が起こっている時は、1光子吸収は起こっているのでしょうか?
No.6
- 回答日時:
> ...蛍光色素が分解してしまうということはないのでしょうか?
あり得ます。蛍光顕微鏡と呼ばれる特殊な顕微鏡等では蛍光色素の褪色(退色)[=蛍光が弱くなること]が問題となります。一光子吸収と二光子吸収の差に関してですが、強いレーザ光を用いたとしても、二光子吸収ではもともとその波長の光に対して色素は透明なので、二光子吸収だから褪色の影響が強くなるということでは無いと思います。蛍光強度と褪色の程度には相関があるでしょう。
No.5
- 回答日時:
No.2の補足に対してです。
> (1)1光子と2光子とでは吸収過程が違うということですか?
その差がフォトンのエネルギーに見合う2つの準位があれば、必ずその準位間で遷移が起こるかというと、「No」です。遷移が許されるには、2つの準位間で回転量子数といった量子数がある関係を満たしていないといけないのです。これを遷移選択則と言います。1光子吸収と2光子吸収とではこの遷移選択則が違うので、1光子吸収では遷移が許されていない準位間の遷移でも、2光子吸収での遷移選択則が満たされれば2光子吸収による遷移は可能になる、という訳です。
> ...蛍光色素が分解してしまうということはないのでしょうか?
すみません、このあたりの具体的な状況はよく知りません。
回答ありがとうございます。遷移選択則があるのですね。禁制とか許容とな習ったような・・・
量子化学まで発展させて理解するのは難しそうですね、
No.4
- 回答日時:
>これは単純にエネルギー順位差が1/2の経路をたとるというわけではないのですよね?
原子・分子には存在しない順位なのですから、通常はそもそも吸収は起きません。
つまり1/2の経路など存在しないということです。
平たく言えば、階段があったとして、一段上に上がることはできるけど、1/2段上がりなさいといわれても無理ですよね?そういうことです。
しかしながら物質の非線形現象により、2つの光子のエネルギーの足し合わせで一気に上に上がることがあるという話なのです。
これは通常は一つの光子と原子の相互作用で励起されるものが、二つの光子と原子が同時に作用するという仕組みです。ただ当然通常吸収がない部分なので、光強度が強くないとそもそも原子と相互作用できませんから、強い光が必要になります。
二光子吸収といっても上記で書いた話と違って、一度励起されて、他の少し低い順位に遷移して、そこからまた上がるという二段階的なものも含めて二光子吸収と言っている場合もあり、この場合はメカニズムが異なりますが、通常二光子吸収という場合には、途中には階段ステップ自体が存在しない場合を言います。
イメージ的に二光子吸収を理解するとすれば、一人で上がれない高さの台に上がるために二人が肩車をして台の上に到達してよじ登ると考えればよいでしょう。
No.2
- 回答日時:
蛍光スペクトルに関係ある範囲で、ごくごく易しい部分だけ書くと、次のような感じでしょうか。
(1)原子・分子が光子を吸収すると、電子はエネルギーの高い準位に遷移しますが、2光子吸収と1光子吸収では遷移が許される準位間のルールが異なるため、2光子吸収では1光子吸収で観測不可能な吸収帯が見られたりします。
(2)2光子吸収が起こる確率がそれなりの大きさになるためには、非常に高い光子密度が必要になります。そこで、2光子吸収を起こすためには、大出力のレーザ光を高密度になるよう非常に小さく絞るようなことが行われます。
この回答への補足
回答ありがとうございます。
(1)1光子と2光子とでは吸収過程が違うということですか?
(2)エネルギーの小さな励起光源では1光吸収がほとんどなのですね。ですが、高出力のレーザーを用いた時に、蛍光色素が分解してしまうということはないのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
一光子の場合とは、平たく言うとその色素の励起準位で決まる吸収波長λの光が来たときに吸収するという話しです。
それに対して二光子吸収とは、吸収波長が2λの光に対して起きる物です。
原子や分子を上位の準位に励起するためには、通常そのエネルギー差に相当する波長の光が来なければ吸収がおきません。ところが二光子吸収ではその半分の波長(光子エネルギーにして1/2となる波長=2倍の長い波長)の光でも吸収が起きるというものです。
この回答への補足
回答ありがとうございます。
二光子吸収の場合、吸収波長が2λとなるとあるのですが、これは単純にエネルギー順位差が1/2の経路をたとるというわけではないのですよね?
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